銀咲イブシ×

 鍵のかかっていない部屋から抜け出すのは簡単だった。難があるとすれば、自分の服が見当たらず、だいぶサイズの大きい翅庵の服を着るしかなかったくらいだ。下着も見つけられなかったから、ウエストの合わないズボンを掴んで落ちないようにして。
 逃げ出したのは、心が潰れそうだったからだ。
 あいつと繋がるのは凄く気持ち良かった。繋がるたび、何も考えられなくなるくらい気持ち良くなった。下手な薬をやるよりよっぽどトべた。
 でもあいつは二十四時間いつでもしてくれるわけではない。ちょっと顔を出して飯だけ置いて行くときもあった。
 何もない部屋で一人で過ごすのは苦痛だ。あいつ無しではいられない後ろの穴が疼いて仕方ない。
 そんな時、頭をよぎるのはあいつの言葉だった。
『可哀想に、汚れたお前なんか誰も愛しちゃくれない』
 別にそれだって構わないのに、執拗に頭の中で翅庵が繰り返し言う。まるで呪いだ。考えないフリをしたって止められない。
 もううんざりだった。兄貴に会いたい。兄貴ならきっと、最後には助けてくれるから。

 繁華街の裏路地でそいつを見つける。ニット帽を目深に被り、今しがた客から受け取った金を数えている。
 オレはこの人が苦手だったが、他に手段は選べなかった。
「銀咲(ギンザキ)さん」
 顔がひきつる。気持ち悪い笑顔を浮かべているに違いない。そんなオレを銀咲さんは一瞥した。
 銀咲さんは兄貴と古い付き合いで、薬の売人でもあった。
「兄貴の居場所教えてくれますか。家、変わったみたいで……」
 真っ先に向かった兄貴の家は、知らない人が住んでいた。前に行ったのはたった二ヶ月前だ。
「携帯に連絡いってるだろ」
「携帯も財布も、無くしちゃって」
 無くしたというより、全部緑島のところに置いてきてしまった。誰に見張られているかわからないオレの家に帰る意味もない。
「なあ、お前今サツに調べられてるって知ってるか。なにやらかしたんだ」
 銀咲さんの言葉に思い当たる事は色々あった。あり過ぎてわからず、首を振る。
「とにかくサツが張ってるような人間、金烏(カナト)に会わせられない」
 兄貴を名前で呼ぶ銀咲さんを目の前に、オレはいつでも叫びたいほどの衝動に駆られた。
 親しげにするあんた達が、オレの立ち入れない二人の世界が、オレは羨ましくて妬ましくて仕方ない。
 親のいない、頼るべくの無いオレの唯一を奪わないでくれと叫びたい。その一方で、後から現れたのはオレだ。邪魔者はオレか?と、考えたくも無い事が頭の中を埋め尽くす。
「……会わせてください」
 頼れるのはもう銀咲さんしかいなかった。
「ダメだって言ってるだろ。消えろ、客が寄り付かなくなる」
「お願いします、会わせてください。オレにはもう銀咲さんに頼るしか無い……兄貴に会いたいんです、お願いします……! 何でもしますから、お願いします」
 この場から一歩でも引いたら、銀咲さんだってきっと姿を消す。みっともなくても縋り付くしかなかった。今兄貴に会える方法は、この人に頼るしか無いのだから。
「は? 何でもするって何」
「……オレ、今金無くて……だから、何でも言うこと聞くんで、勘弁してください。ひ、必要ならちんこしゃぶるし、ケツだって差し出す、から、何でもするから」
「何でもな……お前の"何でも"に価値も興味もねえよ」
 侮蔑の目を向けられ、身体が強張る。肩を突き飛ばされ、オレは尻餅をついた。その横を通り抜けて行く銀咲さんにしがみつこうと手を伸ばすと踏み潰される。
「あああっ」
「何でもするなら、今すぐ首切って死ね」
 絶望と痛みだけが全身を駆け抜けた。

 立ち去る銀咲さんを見送るわけにはいかなかった。踏まれたのと反対側の手をついて立ち上がり、後を追いかける。
 気付いているのかいないのか、振り返りもせずさっさと歩いて行く。人通りの多い道を歩くから、見失わないように必死だった。
 人の流れに逆らって歩いている。でも銀咲さんは難なく進んで行く。
 オレはそうはいかなくて、人にぶつかりながら舌打ちされて歩いた。まるで人生みたいだ、なんて悲観的にはならなかった。どちらかと言えばオレだって前までは、ああしてスイスイ歩く人生だった筈だし。
「いっ……うあっ……く……」
 痛む手が人に当たるたび、神経を抉るような痛みに足が止まりそうになった。それでも歩き続けるから、痛みが上乗せされている。
 しまいには、脳が痺れてきて気持ち良くなってきてすらいた。
 呻きというよりは喘ぎを零しながら歩き、股間に熱が集まっていくのがわかった。こんなオレを見たら、銀咲さんはまた軽蔑の視線を向けてくるだろう。
 今のオレならそれすら快感になりそうで怖い。

 どこに向かうのか、なんて考えていなかった。なんのために追いかけているのか。
 銀咲さんは不意に喫茶店に入る。オレは金を持ってなかったから一瞬躊躇って、すぐに銀咲さんを追いかけた。
 角の席、二人がけ用のソファーが対面に置かれたところに座る銀咲さん。ニット帽を外しているそこに、わざわざ横に座ると、冷たい視線が飛んできた。でも何も言ってはこないからオレも何も言わなかった。
 肩に触れる銀咲さんの体温にホッとする。いつのまにかこんなにも人肌恋しい。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか」
 レトロな雰囲気の店で、シャツにベスト、スラックスを着た若い男が聞いた。
「ブレンドで」
「お客様は」
「じゃあホットのカフェラテで」
「かしこまりました」
 頭を下げて店員が下がる。
 他にも客はちらほらいたが、仕切りがあって半個室のような造りだから、何をしようと隣には見えなかった。
 銀咲さんは頬杖をついてオレがいるのとは反対側を眺めた。オレはそんな銀咲さんを眺める。
 整った顔立ちをしていた。色を抜いてアッシュグレーの髪に、瞳は灰色だった。下まつ毛が長く、唇はふっくらとしている。
 無性にムラっとしたのは、兄貴に犯されるこの人を思い出したからだ。
「お待たせいたしました。ブレンドとホットのカフェラテです」
 さっきの店員がそれぞれの前にカップを置いた。オレのカフェラテには、ハートを飛ばす猫のラテアートがしてあった。
「うわ、ラテアートってやつだ! 可愛いっすね、お兄さんが描いたんですか?」
「ええ、たまにやらせてもらっています。喜んでもらえたなら光栄です」
 ふわりと柔らかな笑みを浮かべる店員。オレにはもうセックスアピールにしか見えなかった。
 すると銀咲さんがおもむろにコーヒースプーンを掴み、ラテアートの真ん中に突き立ててぐるぐるとかき混ぜた。
 店員の笑顔は凍りつき、失礼しましたと頭を下げて立ち去った。
 はしゃいだオレが単純に気に食わなかったんだろうけど、嫉妬した恋人と思われても仕方ない行動にオレはクスクス笑った。
「何一人で笑ってんだよ。ラリってんのか」
「あー……そんなとこ」

 行くあても帰る場所もないオレは銀咲さんの後をついて回った。オレを撒くために走って逃げるわけでもなければ、金を使うような乗り物に乗るわけでもない。
 あっちの路地やこっちの路地をふらふら歩いては、後ろにいるオレに舌打ちしてまた歩き出す。
 そうして半日して辿り着いたアパートの一室で、扉はバタンと閉められた。
 ここが銀咲さんの住む家なのだろう。今でもあるのだ、木造二階建てのボロアパート。他の部屋に住人のいる気配はない。
 オレは玄関扉に背中を預けて、体育座りした膝を抱いて目を瞑った。
 繁華街から少し離れただけで賑やかさは無くなった。時期が時期なら駐車場の木陰や林から虫の声が聞こえそうなものだった。けれども、それにはまだ早いようであたりはシンと静まり返っている。

「ん……」
 目をつぶって、向葵の事を思い出す。
 銀咲さんが警察が調べていると言っていたが、向葵か翅庵が通報したのだろうか?だとしたら遅すぎる気もする。それに翅庵に関してはあいつがオレを軟禁していた事を考えれば通報しないと思う。
 翅庵とした三度のセックスは思い出すだけで身体が震えた。骨の髄まで染み込んで快楽がケツから脳天まで駆け上がる。
 恐ろしい程の幸福感だった。脳から麻薬物質が出て、何も考えられなくなる。あの、身体の奥の奥まで犯される感覚はそうそう味わえないだろう。
「あ……あ……」
 ズボンを下ろし、自身を取り出す。緩く立ち上がった性器を擦ると後ろの穴が疼いた。
 向葵とのセックスもいっそ感動的だった。犯しているのに犯されているような、わけがわからない感じ。
 オレの中に入った玩具を酷いくらいぐちゃぐちゃに動かして、それが気持ちいいからどうしようもない。
 あいつ、女の子と普通のセックスなんて今後出来ないだろうな。そう思うとなんだか優越感で笑えた。
 向葵と翅庵とオレの三人でセックスしたら最高に幸せなのに。それともオレは邪魔かな?ははは。ケツの穴かき混ぜながら何考えてる。
「んん……んっ」
 指で前立腺を押したって全然足らない。もっと深く、もっと止めどない快感が欲しい。
「ああっあっ、あっ、」
 それでもテンションだけ上げたくて、声を出した。ジュポジュポ音を立てて、気持ちいいと思い込む。
 ああ、そこにいい突起がある。ドアノブだ。今のオレなら飲み込めるだろ?入れてみる?
「うるせえ」
 ガタガツッ。背中から突き飛ばされるような衝撃に、丸出しのまま前のめりに倒れた。
「盛りの犬かよ。なあ」
「アァッ」
 ケツを銀咲さんが踏みつけ、オレの性器が床に押し付けられる。
「夜は静かにしろって、そんなのマナーだろ」
「んんっあっああっ」
 潰れたカエルみたいな格好で、ケツを踏まれるたびに性器が潰れるのが気持ちいい。怖くて振り返られないけど、銀咲さんはきっと冷めた目でオレを見ている。
「変態が……」
「や、アギヒイッ」
 足を掴まれひっくり返され、銀咲さんの足がオレの玉を踏んだ。目の前が真っ白になる程の衝撃で、性器から何かが出るのを感じた。おしっこだった。
「汚ねえな。ほら、舐めろよ」
 足が汚れた銀咲さんがつま先をオレに差し出す。さっきまで散々オレを痛めつけた足だ。オレのおしっこで濡れた足だ。
 そっと舌を出して親指を舐め、口に咥えた。性器をしゃぶるみたいに、とびきりの馬鹿を演じる。
「……はあ、何してんだろな。馬鹿馬鹿しい」
 口から指が引き抜かれ、オレの服で拭い去る。
「明日金烏に連絡してやるから、中入れ。シャワー浴びろ、五分で」
 急な心境の変化に戸惑い、頭が追いつかないオレを銀咲さんが睨んだ。
「早く」
 言われて立ち上がり、後を追う。
 よくわからないけど兄貴に会えるなら、オレはそれでいいや。

 風呂を出ると手渡されたパンツとシャツを着て、ボロボロのソファーでくつろぐ。部屋は散らかっていた。
 銀咲さんが風呂に入っている間、暇つぶしにテレビを付ける。やっているのはバラエティばっかり。ドラマも途中からだし、誰が誰かもわからずつまらなかった。
 明日ようやく兄貴に会えると思うとなんだか落ち着かず、立ったり座ったり、部屋をぐるぐると回って歩く。
 散らかった荷物をガサガサと漁り、エロ本はないのか、酒やタバコはないのかなんて探った。
 その中にタバコが転がっているのに気がついた。近くに半分空いた葉っぱの袋があり、タバコの葉と入れ替えられている。
 葉っぱの袋にはスパイスなんとかとか書かれていて、つまりは一時期流行った合法ハーブの類だった。
 兄貴から「粗悪品に手を出すな」と散々言われてきたから今までやってこなかった。でも兄貴が信頼を置く銀咲さんの家にあるんだし、いいよな?
 オレはタバコを手に取り、机に置かれたライターで火をつけた。ソファーに座り、近くに灰皿を置いてタバコを吸う。
 久々のニコチンの摂取に脳が痺れるようだった。なんとなく落ち着いて、時間をかけてタバコを吸った。
「は……ふふ……」
 吸ってるうちに気分が良くなっていく。付けっ放しにしたバラエティも、今なら機械の笑い声につられて笑えてくる。中身なんてよくわからないが、ああ、あのタレント面白い。ははは、あはは。
 思い切り吸い込んで脳がグワンと揺れた。込み上げてその場で嘔吐する。ああ、汚ねえ。ゲロのついたシャツとパンツを脱いでくしゃくしゃにまとめた。
 口が気持ち悪い。台所で水を出して、口をゆすぐ。喉が渇いた。ペロペロと猫みたいに舐める。ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃ、なんだか楽しい。ああ、口寂しい。タバコ、タバコ欲しい。
 がらっ、浴室のドアが開いた。水がぽたぽた垂れる銀咲さんが目に入る。
「お前、なにやってんの」
 目の前にぶら下がるちんこが、ああ、美味しそうって。

「うあっあっやめろっ、やめろって、あああっ」
 飛びついて押し倒した銀咲さんのちんこにむしゃぶりつく。萎えてる先っぽを咥えて手で扱く。可愛い、美味しい。玉を揉みながら頭を上下に動かした。
 オレの口オナホ気持ちいいみたい。ちんこビンビンになってる。オレも欲しい。自分のちんこを扱きながら吸い上げた。
「アアッあああ」
 イきそうな銀咲さんの根元を指できつく締め付けた、仰け反ってビクビク震えてる。イった?今イったよね?精子出てないけどイったよね?あはは、可愛い、銀咲さん可愛いよ。
「やめろっ……」
 腹筋がないのか身体を起こすことすら出来ないらしい。オレの手をちんこから引き離そうとするから、オレは手を放してあげた。
「兄貴とセックス気持ちよかった? 銀咲さんケツアナしゃぶられる方が好き?」
「な、」
 に言ってんのかよくわかんないな。銀咲さんの太ももを掴んでまんぐり返しの格好にさせる。なんか叫んでるけど、早くケツアナ舐めてって聞こえる気がする。
 じゅぼっ。
「んああっやめろっやめろっあああ」
 銀咲さんのケツアナに舌を差し込んだ。ペロペロ舐めると穴がキュンと窄む。
「おえのべろきもひい? ねえ」
 なるだけ深くまで差し込んで中を舐め回す。ケツアナ舐められてちんこ勃ってる銀咲さん可愛い。オレもケツアナ舐めて欲しい。

「銀咲さんのケツマンコまじぐちゃぐちゃ」
「ああっあっん、あっ、あっ」
 ケツアナを人差し指と中指でピストンしながら亀頭を撫でると、泣きそうな顔で喘ぐ。わかる、すごいわかる。気持ちいいけど、なんか、切ないんだよな。わかる。オレもして欲しい。ずるい。
「銀咲さんちんこ欲しい? でもオレのちんこ勃たないからさ」
 指を四本に増やしてナカをかき混ぜる。これフィスト出来るんじゃない?ていうかしてた?してはないか。したら、兄貴喜んでくれるかもよ。兄貴フィストしたがるの?じゃあオレもフィスト出来るようにしようかな。
「銀咲さんのちんこオレがもらうね」
 銀咲さんの上に後ろを向いて跨る。慣らしてないから入れづらい。銀咲さんのちんこぬるぬるでよかった。先っぽを穴に擦り付けて入れる準備をする。
「はあっあっ、ああっあ、いいよ、いいよ銀咲さんっあ、ああっ」
 ズン、と全部飲み込んで、脳天がビリビリに痺れる感覚に一瞬トんだ。
「はあ、くそ、お前まじでなんなんだよ」
「あっあっあっっあ、あっ、」
 オレを押して膝立ちになって、後ろからガンガン突いてくる銀咲さん。前立腺擦られて馬鹿になっちゃう。
 あ、あ、ダメ、クスリ切れてきた。くそ、くそ。
 頭が冷えて、気分が下がっていく。クスリでハイになった分落差が酷かった。
「あっあ、すごい、きもちい、いいよ、銀咲さん、ああっ」
「AVじゃねーんだからやめろ、萎える」
 いつもどうやって喘いでいたのかわからなくなる。棒読みのセリフに、銀咲さんがオレのケツを叩いた。
「なにお前クスリ切れたの? これだからヤク中は……」
 ぬぽっ、とオレの中から銀咲さんが抜けた。名残惜しさに穴がヒクヒクしてるのがわかる。
 余韻を味わっていると銀咲さんに二の腕を掴まれ、ベッドに押し倒された。
「お前が誘ったんだから最後まで付き合えよ」
 そう言う銀咲さんが縄でオレの腕をぐるぐる締め上げ、ベッドに縛り付ける。
「はは、少しも抵抗できなくなった。お前のこと殺しちゃったらごめんな?」
 足もそれぞれ曲げて縛られ、万歳で寝転がりM字開脚してる状態になる。
 ベッドから降りた銀咲さんがなにかごそごそやって、少しするとタバコに火をつけて差し出してくる。
「俺のスペシャルブレンド、やばいから」
 咥えて、少しだけ吸うつもりがうまく加減出来なくて思い切り吸い込んだ。ああ、これ死んだな、って思いながら。

 電気がチカチカして目が痛い。ぐにゃぐにゃに曲がった銀咲さんがガブガブ噛んでオレを食べようとする。
 逃げようとするのに逃げられない。オレの腕がない。足がない。ジュッと焦げた匂いがした。ぐにゃぐにゃの銀咲さんが熱いものを二の腕に押し付ける。はは、銀咲さんのちんこバーナーになってんの。やばい、オレ死ぬ。やだ死にたくない。あっ、あつい。
 逃げなきゃ。身体が動かない。腕も足もなくした。違う、縛られてる。なんでだっけ。あっ、あっ、気持ちいい。ケツに何か入ってくる。こわい、あっ、あっ、きもちいい、おなか、おなか。
「あ、すごい、俺、金烏の遺伝子犯してる。金烏、金烏」

 じょぼじょぼと腹の中に注がれるのがおしっこだってわかった。その頃になって急に意識がはっきりする。
 ゾッとする。身体中に引っ掻き傷が出来ていた。噛み跡もそこかしこにある。乳輪の周りに何重にも噛み跡が付いていて変色していた。
 つまるところ、銀咲さんもクスリでおかしくなっていて、殺しちゃったらごめんとは、そういうことだった。
 ふと、横を見ると、兄貴と目が合った。ずっと見ていたのだ。いつからかは知らないけれど。いや、幻覚かもしれない。わからないけど。
 でも、どうしよう。兄貴を見ただけで、オレのちんこは勃ったんだ。