カランコロンと下駄を鳴らして、近所のスーパーからの帰り道。繁華街の通りは明るいが、一歩路地裏に入れば薄気味悪さすら感じるほど暗い。
「でも俺の家はそこだしなあ」
ボロいが安いアパートに住む身としては、この不安を煽る通り道も慣れてしまえば、だ。住めば都、通れば赤絨毯と言ったところか。
鼻歌でもしながら歩いていると、街灯の下に二、三人の人だかりが見えた。なんだ、酔っ払いか?
横目でチラリと見ると、随分若い連中だった。そして三人が取り囲む中、床に這いつくばっているのが一人。
「ん? おいおいお前ら何してんの」
「は? おっさんはすっこんでろよ」
「こいつが悪いんだからいいんだよ」
見たところ高校生くらいにも見えるが、酒臭いところから大学生くらいだろうと推察する。
そんな事よりだ。
「寄ってたかって一人を痛め付けるだけに足りる理由なんてのはこの世に存在しないんだよ。ほら、散った散った」
「手ェ出すなおっさ……」
三人と地面に転がる一人との間に割って入ると、虐めている側の一人が俺の胸倉を掴んだ。あんまりおいたが過ぎるのはよくないね。そう思い、そいつの腕を掴み返すと言葉尻がすぼんでゆく。
「いい加減にしような」
あくまで穏便に済ませたい俺が笑顔で言うと、ようやく胸倉を掴んでいた手から力が抜けた。そしてぼやきながら他の二人を連れて去って行く。わかってくれたようでなによりだ。
「はあ、ったく。なにしてんだ空木(ウツギ)」
三人が繁華街に戻って行ったのを確認してから、そいつに向き直る。
あーあ、鼻血出しちゃって、せっかくソコソコ良い顔してるのに勿体無い。
「んあ……せんせ?」
「なに、お前酔ってんの?」
とろんとした目と舌足らずな声が俺を呼んだ。空木は俺が塾講師のバイトをしていた時の教え子で、頭の悪さと要領の悪さ、見てくれの良さと人懐こいところをよく覚えている。
「つーか空木、お前まだ未成年だろ」
「ふへへ……ヘマしちゃった……あれ、なにこれぇ、血ぃ出てるの」
空木は違和感があったのか、自分の鼻を手の甲で拭いてから、血が付いて目をまん丸くさせている。
「もう、幼児かよお前は」
なんて、へらへらとろとろしている空木がちょっと可愛いと思ったのは内緒だ。
「ったくしゃあねえな。ほら、ウチそこだからおいで」
「んんあ、まって、まってせんせ、立てない……」
手を掴んで立たせようとすると、腰が抜けたのか立ち上がれないようだった。酒が入った上に、結構相当殴られてるらしい。幸いにも鼻血以外の出血は見られないが、袖や裾から覗く痣が生々しくていけない。
「ほら、掴まって」
「ん……あっあ、あ、せんせ、もれる……ふあっあ」
抱きかかえるように背中に腕を回し、中腰になったところで空木が喘ぎ出した。いや、喘がせたわけではないが、耳元でそれと同様な声を上げている。
「あー……あー……」
随分と気持ち良さそうなため息。ショロショロと言う水音。そして鼻に付くアンモニア臭。
「はは、おもらして……」
酒のせいか随分長い放尿を終えると、ぶるっと身体を震わせて俺に寄りかかる。殆ど眠ってしまいそうな空木は、無防備にも過ぎる。
「しょうがねーな、空木は」
思い返せば塾でもこういう、放って置けないタイプの馬鹿だったんだよなあ。二、三年前の事をしみじみ思い返しながら、空木を街灯に寄りかからせる。
「んー、拭くものこれしかねえけど、まあいっか」
酔ってるとは言え、小便塗れは可哀想だしそんな臭いやつ家に連れていけないし。
俺は今しがたスーパーで買ったそれを取り出し、空木のゆるゆるのズボンとパンツを引き摺り下ろした。萎えて濡れそぼった性器が、頼りない灯りの下に晒される。
「空木ー、拭くぞ」
手の上にそれを拡げて置いて、空木の性器を根元からそっと包みこむ。根元から先端へ、数回扱くと直ぐに反応をしめした。
「ん……きもち……んっゆあっひっうううあっ熱いっ?? 痛いいいいひいいいいっうあああ」
「うわっションベン」
びゅるっと残っていた小便が放出される。それしかなかったから仕方なく拭いたけど、中々威力が強いらしい……ギャッ○ビー。
「あああっまってあああっくあっひいっちんこっちんこがあっうあああ」
「いや、さすがにうるせえ」
どんだけ痛いのか想像つかないが、殆ど叫び声になっていた。仕方ないから俺は噛みつくように空木の口を口で塞いぐ。
涙をぼたぼた零して、鼻息がふんふんと荒くて、俺にしがみつく空木はいかんせん愛おしくて仕方ない。尿道口をグリグリときつく擦ってやると、腰を振ってもがいた。性器は萎えているのにヌルヌルと液が溢れていて、これは相当ヤバいのだろう。
「空木のちんこ汁止まんないから拭くのおわんないよ」
腰の引けている空木を追っていくとついにしゃがみこんで、膝をさっき漏らした小便に浸して悶え出す。それでも俺はギャッ○ビーで優しく拭いてやるから、空木は腕に縋り付いた。
「ちんこ……とれちゃう……」
ぐずぐずに泣き崩れた空木の顔がどうにも堪らなく好きで、ああ、もうちんこ取れちまえよとすら思った。
好きな子は虐めたくなるとは言ったものだが、その精神を垣間見た気がした。
「わかった、わかった、ちんこはもう拭かないから」
俺がようやく性器から手を離し、地面にボディーペーパーを落とすと、空木はハアハアと息をした。身体を強張らせて痛みに耐えていたから、息をするのすら忘れていたのだろう。
それを横目で見ながら空木の後ろに回り、きっと叫ぶから空木の口を手で塞いだ。
「こっちも綺麗にしないとな」
「あっきひゃあああ」
無防備に晒した尻の穴から会陰、玉裏までにボディーペーパーを乗せた手をぴったり当てがい軽く擦る。四つ這いでされるがままの空木とセックスしてるみたいだ。
俺なんでこんな事してるんだろう。まあいいか。
泣き声も上げられないほど悶えて疲れ果てた空木を家に持ち帰り、なんだか満たされた気持ちになる。スーッとする爽やかな匂いと、ぐすぐす泣き止まない声をBGMに、俺はぐっすりと眠りについた。
終わり