※タイトルでお察しください!
外ではなにやらドンドンパラパラと音がする。キオが窓から窺うと、どうやら打ち上げ花火の音らしい。よく耳をすませば祭囃子の音がして、近くの神社で祭りをしているようだ。
「イツミ、お祭りしてるみたいだよ。行かない?」
「あー? いいよ、だるい」
キオが振り替えって呼ぶも、イツミはベッドで漫画を読みふけっていた。
「行こうよ折角だし。こないだ買った浴衣着てさ。カキ氷とか食べよう」
「わかった、いいよ」
「やった、俺が着させてあげる」
随分乗り気のキオに折れて、イツミは腰を上げた。
ドンドン、カッカ。太鼓が鳴り、子供から大人まで沢山の人で賑わっている。普段は寂れた神社だが広さがあり、屋台も多く出ていた。
「イツミ、ほらあれ食べようよ」
「おい、あんまはしゃぐな。逸れる」
子供のようにはしゃぐキオが駆け出しそうなのを、イツミが腕を掴んで止めた。どこにも逸れないようにと引き寄せると、キオは頬を赤らめさせた。
「なに、照れてんの?」
「近いって」
いつもは外で手を繋ぐことなんて絶対あり得ないことなのに、今は手を繋ぐどころか肩寄せ合って歩いていた。キオは変に緊張して歩き方がぎこちなくなっている気がした。
「こんだけ人がいたら誰も見てないだろ」
「そんなの、」
「あ、やべ」
「え」
イツミが急に声を上げたかと思うと、キオの手を強く引いて歩き出す。戸惑うキオに振り返り、イツミが苦笑した。
「帯取れたからそっちで直して」
キオがその言葉に、ハッと見ると確かにイツミの浴衣帯は解けていた。イツミはもう片方の手で帯と浴衣の前を掴んでいたが、胸が肌蹴て見えて、下着もチラチラと露出してしまっていた。
クールに装ってみせるけれど、手先が不器用で浴衣も上手に着られない、そんなイツミのギャップが愛おしくてキオはこっそり微笑んだ。
「って、ちょっと待ってよ」
イツミに連れられるがまま林に辿り着くと、気がつけばキオは自身の手が背中側で拘束されていた。イツミの浴衣帯がきつく締め上げ、もがけばもがくほど固く絡んで解けそうにない。
「なんだよ、これ」
「キオ声でかいよ。誰かきちゃうよ?」
「っ!!」
そんな脅かしに戸惑っているうちに、木に上半身を押し付けられ、イツミに尻を向ける格好を取らされる。
「や、イツミ、外だぞ」
「外だからもう興奮してんだ」
「うっあ、ちが、」
開いた股の間、緩やかに起ち上り始めたそれを握られ、キオは声が上擦る。
「キオ、声抑えられそうにないから、猿轡しとくか」
「なっんん」
しゅるりとキオの帯が外され、口に咬まされた帯は頭の後ろで結ばれる。布の嫌な感触に吐きそうになるが、イツミが下半身を撫で上げそれどころではなくなる。
「さすがに準備してないか」
浴衣の裾を割ってイツミの手が内股をなぞり、下着の上から尻肉が揉まれる。イツミは両手でそれぞれの尻に手を当て、左右に開く。誰かに見られたら、と思うと羞恥と不安で怖いのに、キオはそれ以上に身体が熱くて興奮が止まらないのに気が付いた。
「キオ、裾持ってて」
「っ……」
なんて意地悪なんだろう。イツミはキオの浴衣の裾を取り、あまつさえそれを、後手に結ばれ不自由しているキオの指に挟むように掴ませる。これほどの羞恥を、自ら晒せと言っているようなものだった。
「可愛いよキオ、俺が舐めて慣らしてあげる」
「ん……っあ……ふ……」
イツミは優しく言うと、キオの下着を膝まで下ろし、剥き出しになった尻肉を割ってその蕾を晒した。フッ、と息をかけたかと思うと、ぬとっとした熱が穴にあてがわれる。そのまま穴をクルクルとなぞり、悪戯に中心を叩いた。
「んっんっんんっ」
汚いところを優しく舐められ恥ずかしいのに気持ちよさが上回った。指で穴を左右に開かれ、更に舌をねじ込まれる。そう思うときゅっと舌を締め付けるが、それを楽しむように舌がチロチロと内壁を刺激した。
「ん、もう限界。挿れるよ、ゴム無いから生でいいよな」
「んっんんぐっぅ」
挿れるよ、の言葉からそう間を置かずにイツミがキオを犯した。舌で少しいじっただけではとても滑りが足りず、それでもごりごりと奥まで押し入る。ずくんと深くまで突かれて、それだけでキオは精液を出さずに果てた。
「はっあ、きっつ……」
キオがイッたせいできつく締められ痙攣する中に、もってかれないようイツミはキオの肩を強く掴んで堪える。その肩を掴まれる痛みすら、今のキオには快感になりそうだった。
「動くぞっ」
「んっんぐっうっふっっうっ」
ずりゅずりゅと内壁を引きずるような抜き差しにキオは膝が震えて崩れそうだった。それを許さないイツミの手は、キオの猿轡になった帯を掴んで後ろに引っ張り、まるでいななく馬のように体をのけぞらさせる。
「蚊だ」
バチンッ!
「ぐひっ」
蚊の止まったキオの尻をイツミが強く叩いた。蚊は潰れて血が撒かれたが、それだけではなく真っ赤な手の跡が残る。
「ははっ、ケツ叩いたらすげえ締まった。なに、キオってマゾだったんだ?」
バチン!
「んひっ」
バチッ!
「んんんっ」
「キオ、俺イきそう」
「んっんっ」
容赦なく尻をバチバチ叩いたかと思うと、イツミがキオの身体を強く抱いて、熱を帯びた声で囁く。キオは身体の奥がドクンと疼いて、それから深く早くなった律動で頭の中が真っ白に染まる。
「ああ、ほらキオ、チョコバナナ食いたいって言ってたろ」
イツミはそれをずるりと引き抜く。地面に崩れ落ちたキオの、猿轡になった帯を外しながらしゃがみこんだ。
「綺麗に舐めてよ、キオ」
「あ……ぐ、」
自身の汚物にまみれたそれを眼前に差し出され、吐き気がこみ上げる。そんなキオの頬に手をあてられ、指が唇を撫でた。花火が打ちあがって、その光が一瞬で消える。より一層闇が深まった気がした。
「口開けて、キオ」
指が唇に食い込む。キオはゆっくりと口を開けた。それだけでもう、嗚咽がこみ上げる。
「イツミ……」
神に縋るみたいに呼んだって無駄だった。イツミの指がキオの口にねじ込まれ、口を閉じられなくなる。
体温と同じ温度の涙がするりと頬を流れたが、キオ自身は気付いていない。けれどその泣き顔に、イツミの口が歪んで笑っている。
「あ……」
「っぐ、おえっげぇっげえっ」
林の中で吐き戻しているキオ。イツミはラムネと、屋台で買ったそれを差し出す。
「ほらキオ、チョコバナナ、あーん」
「……」
今度こそ差し出されたチョコバナナに、吐き気しかない。
終わり