結束バンドというのはとても便利な代物だった。物を固定するのに使うが、その固定が簡単で、しかもなかなか外すことは出来ない。ホームセンターどころか、某大型スーパーの日用品売り場にだって置かれていて手に入れやすい。
漫画だかドラマだかで見たのか、覚えてはいないけれど、つまりそんな便利な物がこんな事に使えるなんて、と思ったりもした。
「や、やめろっ」
「うるせえうるせえ、お前は喋んなよ」
「喋るたびワンパンな」
「うぐっ」
嫌がる奴を無理矢理ってシチュエーションはなんだかんだ言って燃えるものだ。日頃からいじめてきた空木(ウツギ)の肩を掴んで、体育館裏に連れていく。埜土(ノヅチ)はノリノリで、今痛みに呻きを上げた空木をもう一度殴りつけた。
体育館裏を囲うフェンスまで来ると、空木の膝裏を蹴りつけて転ばさせた。無様にうつ伏せになった空木の手首を結束バンドでフェンスに繋ぐ。空木は寝そべって万歳をするような、そんな情けない格好になった。
「なにこれめっちゃ便利なんだけど」
「だろ。なんか祭りの備品にたくさんあったからパクってきた」
「悪い奴」
学校では町内会主催の夏祭りの準備が進められていた。生徒は皆借り出されて祭りの準備を手伝わされるのが決まりだった。
業者も入る祭りで、アレコレ知識を身につけられて文化祭に役立つなんて話だけれど、こちらとしては祭りも文化祭もかったるいイベントに過ぎない。
まあ、結束バンドなんて便利な物を手に入れられたし、人が多すぎるから俺たち三人がサボったところで誰にも気付かれないから、そこはいいかもしれない。
俺は空木の背中に乗って頭を土に擦り付けさせながら、結束バンドが外れない事を確認した。それから空木のズボンに手をかける。
カシャン、フェンスが鳴ったのは、空木が抵抗しようと手を動かしたせいだった。声を上げないのは、今だ埜土の「動いたらワンパン」が続いてると思っているからだろう。当の埜土はそんなこと忘れているだろうけれど。
「だーいじょうぶだって、空木。こんなのちょっとした暇つぶしだから」
「そうそう。ほら、口開けろよ、歯立てんなよ」
俺が空木を剥いてる一方で、埜土は空木の腕の間に入り、チャックを下ろす。情緒無くぼろんと取り出したそれを、嫌悪感でいっぱいの顔した空木の唇に擦り付けた。
「しゃぶれよ」
「う、う、」
「お前のちんこくせーんだよ」
「はあ? 殺すぞ」
俺が言ったのに、殺すぞという言葉を空木に向ける埜土の理不尽さったらない。敵じゃなくてよかったなあ、と思いつつ、俺は可哀想な空木を笑った。
「空木、こないだしゃぶったんだから今日も出来るだろ。早くやれよ」
言葉では急かしながら、俺のをしゃぶるわけでもないし、その実どうでもよかった。剥き出しになった空木の尻を指でなぞると、尻に力が入り、キュッと締まる。
綺麗な白い尻で、桃みたいだと思った。俺は桃が好きだ。あの皮越しに鼻を寄せて香る甘い匂いとか、口に入れたら瑞々しい汁のほとばしる感じとか、好きだった。
そんな尻を目の前にしたら、誰だって舐めたくなるもんだ。その欲望に身を任せて、空木の尻に舌を這わせた。
「あっ……ぐほっ」
「空木、上手にしゃぶれよ」
「ぐっおっごほっ」
埜土は上手にしゃぶれよ、なんて言っているけれど、空木の身体は強張っているし、概ね好き放題喉を突いているんだろう。歯を立てられないだけマシじゃないか。
「空木、こっちも中入れてやるから」
言いながら、ポケットからソレを取り出す。いわゆるいちじく浣腸という奴で、それを三つ手のひらにのせた。先端を窄んだ空木の穴にねじ込み、中身を注入する。
違和感があったのだろう、空木は尻を上げて背を仰け反らせる。俺はそのまま二個、三個と浣腸を注いだ。
「埜土のちんこ噛んだらダメだからな」
ビクっと震えた背中を撫でて、それから尻肉を左右に割り開く。小さなその穴にゴムをつけたちんこをあてがいねじ込んだ。だって蓋しなきゃ、うんこ漏らしちゃうもんな。
「うっ……ぐっ……ごえっ……」
突くたびカシャンカシャンとフェンスが鳴るのは、他にすがる所のない空木がフェンスを握っているからだった。
頭は埜土に押さえられ、可哀想な程に縮こまっている空木の身体をこれでもかと責め立てた。
浣腸三個が効いているのか、空木の腸はキュルキュルとうねり、薄いゴム越しに汚物がぐちゃりと潰れる感触があった。
尻肉をギュッと握り、奥まで優しく挿入すれば、汚物は腸を逆流していく。その苦しさに身体を強張らせるのは、快感で悶えて果てる様にも似ていて、空木は感じているのでは、と錯覚してしまう。
「うっ……イくっ」
「っっぐっぐふっごっごふっ」
埜土が呻いて、空木の頭を一層強く押さえつけた。喉に直接精液を叩きつけられたのだろう、むせる反動で穴がキュンと締まった。
「げほっげほっうおぇっ」
「うっわ汚ねえ」
やっと解放されたかと思うと空木はそのまま激しく咳き込み汚い音と呻きを上げて嘔吐した。胃がひっくり返っているように、休み休み吐いた。吐くたびに穴が締まるから気持ち良くて、俺が律動を止めないでいるとショロショロと言う音とアンモニア臭が鼻についた。
「はは、上も下もだだ漏れ」
「あ……あ……」
俺はスローペースに突きながら、萎えた空木の性器を握った。未だ漏らす穴を指の腹で撫でると、空木は心なしか気持ち良さそうな喘ぎを零した。
「オレのズボンゲロまみれなんですけど?!」
「空木のはいとけば」
「あー、そうする」
埜土はゲロまみれのズボンを半分脱ぎながら立ち上がり、空木の腕の中から抜け出した。空木の嘔吐物は埜土の股間から左膝あたりまでを綺麗に染めていて、臭いもきつそうだった。
「空木、お腹痛い? 苦しい?」
「んあ……あ……」
俺は空木の背中にのしかかり、一際深くまで入る。腸に汚物を溜めた下腹部はぽっこりと孕んでいて、それを撫でると空木は苦しそうに息を吐いた。
「空木……俺がイくまで……苦しんで、ろっ」
「ぐううっうううっうあああっ」
フェンスに掴まる空木の手に手を重ねて、俺は抜ける寸前まで腰を引いては、これ以上ない程奥まで突き上げた。隙間から汚物がこぼれ落ちて、臭くて汚くていやらしい。
身体に力が入らないのか、ゲロの数センチ横の地面に顔を擦り付け、喘ぎ声も出せないのかうぐうぐと呻くだけだった。俺だけが楽しいセックスを、俺だけが楽しんだ。
「空木」
「いぎいっ」
無防備なうなじを噛みちぎるつもりで噛み付く。望み通り空木の穴は痛いぐらい締め付けて、俺はゴムの中で果てた。くっきりついた噛み跡を舐めると、空木はすすり泣く。果てた余韻にはちょうどいい、優しい締め付けを味わう。
「空木、お前のクソまみれだ。舐めて綺麗にして」
ずるりと引き抜くと、後を追うように汚物が落ちた。閉じ切らない空木の穴は、それでも奥ゆかしく窄まり、漏れ落ちるのを止めようとあがいた。
「出来るだろ?」
「は、あっ、はあ、あっ、っぐ、おえっ、うっうっ」
今度は俺が腕の間に陣取り、しゃがみこんで空木の頭を掴み、汚れたそれを差し出す。生理的な嫌悪で嗚咽を上げるが、胃の中身は先ほど全部出し切ったらしく、胃液しか出ないだろう。
ひどく歪んだ顔に興奮した。便器を舐めるのと、自分の汚物を舐めるのと、どっちの方が嫌がるか。
「空木」
口を閉じて抵抗したいだろうに、鼻先の汚物で吐くものもないのに込み上げて口を閉じることさえ出来ないようだ。残念で可哀想な空木の頬を両手で包み、顎を開かせる。
「あっぐあっあっああああっ」
「まじオニチク」
「それな、キチクって読むんだよ」
精一杯身体を仰け反らせる空木の口を上から犯したから、なおさら喉の奥まで突いたらしい。興奮止まない俺はゴムの中でもう一度果てた。
さっきよりも綺麗になったゴムを外して、泣いてる空木に笑いかける。
「ほら、ホワイトチョコバナナ」
「も、も……ゆるし、て……」
ホワイトチョコバナナ(笑)を空木の唇に擦り付けると、小さく何かを言ったようだが俺にはよく聞こえなかった。
終わり