「白雨(シロウ)」
「ちょっと待って」
「待てない」
「夜霧(ヨギリ)」
夜霧は盛りのついたオスだった。僕がパソコンと睨めっこしていると、後ろから抱きついて構えとせがんでくる。
けれども僕は、今手が離せなかった。僕は漫画家で、新しい作品の画期的なアイデアが顔を出したところだった。今を逃してはいけない。
だから僕は夜霧を縛った。その細い腕を後ろ手にきっちり縛りつけてベッドに寝転がせる。
「邪魔しないで」
非情だったかもしれない。けれども、その時の僕は顔を出したアイデアで頭がいっぱいだった。
「白雨」
後ろで夜霧が呼んでいた事に気付いたのは、それから二時間が経ってからだった。
今日は筆が乗る。溢れ出るようなアイデアを紙に書き留め、余分なところを削り、欠かせないところには大きく印を残す。
それをまた、一つの物語として丁寧に繋ぎ直す。終わった頃には、僕は薄っすら汗をかいていた。
「白雨」
夜霧が切ない声で僕を呼んだ。目を離した隙に勝手に興奮しだしていたらしい。荒い息を吐きながら、僕の名前を必死に口にする。
盛っている夜霧は厄介だが、僕を求める様子は可愛らしいと思う。僕はもう少しだけ気付かないフリをして、意地悪をする事にした。
「ん、ん、白雨、もう終わったんだろ?」
ベッドの上でゴソゴソと音がする。何をしているのかわからないけれど、僕は夜霧に背を向けてパソコンに向かい続けた。
すると、ドスドスと足音がして背中に重くのしかかられる。
「白雨っ終わってんじゃん」
「終わってるよ。盛ってる夜霧が可愛かったから」
「はあ、もう、俺我慢できないよ、白雨」
背中にのしかかった夜霧は僕の耳に熱い息をかけながら、はあはあと荒く息を吐いて、背中に滾った性器を押し付けた。どうやってズボンもパンツも脱いだんだか。
「んあ、っあ、アッ、はあっ、白雨、白雨っ」
硬くて熱いそれを背中に擦り付けて、僕のシャツを汚しながら果てる。
この子、随分溜まっていたんだなあ、と言うのが僕の感想だった。そういえばアイデアが出ないからと、一週間ほど夜霧との接触も控えていた。
ただでさえセックスを覚えたての猿みたいにヤってる毎日だったのに、一週間も我慢させていたら、こんなに溜まってしまうのも仕方がないか。
「夜霧」
とはいえ、だ。
僕は振り返り、夜霧の胸ぐらを掴んだ。
「僕の服を汚すなんて悪い子だね。お仕置きをしなくちゃ」
夜霧は怯えた目をした。けれど口元に笑みを浮かべている。いやらしい子だ。
「ああっ、あっ、しろ、白雨の手マンっふ、あ、っあ、」
僕は夜霧を後ろから抱きしめる。夜霧は正座の足を開いた格好をしていた。その股間の少し前に手で指で輪っかを作って置いた。すると、さも当然のように夜霧は僕の指に性器を通して腰を前後させる。
腰を引いた時に指を少しだけきつくすると、絞られるような感覚に悶えて泣いた。そのきつい輪にもう一度性器を通して、もっときつく締めると遠くまで精子を飛ばして果てる。
「これで終わり?もっと欲しいんじゃないの」
「あっあっああっ」
腰の動きが止まってしまったから、僕が指を動かすと夜霧が声を上げる。もうすぐにイきそう、むしろイっているような喘ぎに僕はゾクゾクする。
「イく?」
「イくっイぐイぐイぃいっひいいい」
「イかせてあげない」
イく瞬間に指で根元を塞ぎ止めるように締め上げると、ビクビク身体を震わせて腰を数回突き上げるように動かす。
少しだけ精液を垂らしただけで、夜霧は完全にはイけなかった。
「苦しい?イきたい?」
「イっいたい、イきたいっ」
よだれまみれの口に空いてる方の指を差し込む。パブロフの犬みたいに、素直に指を舐め始める夜霧。可愛いバカ犬の舌を弄ぶと、夜霧はそれさえ喜んだ。
「イけたらいいね?」
「んっんんんんっひいいっんっっくっうううっ」
夜霧のよだれで濡れた指で、亀頭を擦ってあげる。敏感な尿道を指の腹で抉ると、身体を仰け反らせて喘いだ。
「イく?イった?イけそう?」
「んっあああっひい、っイきったぃいっい」
神経を直接擦られたみたいな刺激なのに、夜霧は可哀想にイくことが出来ない。
「イきたい?」
「イきた、っい、イくっう、イくうっ」
ビクッビクッと大きく身体を震わせて、イったような動きをするのに精液は僕の指で塞ぎ止められている。イくイくとうわ言みたいに繰り返す夜霧が可愛くて、僕は指を緩められなかった。
「僕の手マンでイっちゃうの?」
「は、あーーっ、あ、っあ、あっ」
指の先をほんの少し尿道にねじ込むと、夜霧は目を見開いて泣き叫んだ。
「どこでイきたい?夜霧、おねだりしてごらん」
「んっん、んっあっふ、あ、はあ、はあはあ、白雨っ」
「うん」
「白雨のっう、んっケツマンっ中入れたいかあっら、あっあっ」
「そこまで言うなら、仕方ないな」
「んんっうひいいいっ」
夜霧の可愛いおねだりに、僕は応える前に、夜霧の亀頭を手のひらで包むように擦りあげた。精液を出さずに果てる夜霧が、僕は可愛くて仕方ない。
「準備してないから、夜霧、解してくれるよな」
「舐めるっ、舐めるから」
再びベッドに寝かせた夜霧の顔に跨り、僕はお尻の穴を夜霧の口にキスさせる。煩い口はすぐに静かになり、夜霧の舌がれろれろと穴の縁を舐め始めた。
腰をあげると必死で舌を伸ばす夜霧。僕のお尻、そんなに美味しいのだろうか。
僕は夜霧の顔の上に座り直して、金玉を夜霧の顔に押し付けた。
「夜霧の顔、気持ちいいな」
「んっんんっんっふあっあ」
鼻を金玉で塞いであげると苦しそうに喘いだ。それでも必死で穴を舐めようとする夜霧。
「夜霧は僕のお尻大好きだよね」
「んあっは、しゅきっ、あっらいしゅきっい」
じゅぱじゅぱと音を立てて吸いつく夜霧。流石に排泄は済ませておいてよかったと内心で思う。でも夜霧なら、僕のうんちさえ食べてしまいそうだ。
「じゃあそろそろ、僕のナカ、入れたいだろ」
僕は腰を上げて、夜霧の唾液まみれの穴に指を入れる。クパァ、と開くと、夜霧は血走った目で見入った。
「ほし、ほしいっナカ入れたい、白雨っ」
こんなに夢中になってくれて、僕は嬉しい限りだ。
「夜霧、口開けて」
「んあ」
「えらいえらい、まだ残ってるね?」
一回夜霧の口に果てて、吸いださせた精液を飲まさずに口の中に止めさせた。褒めてあげると頬を緩ませて喜ぶ。
僕はいい子にはご褒美を与えるタイプだ。
「僕がいいって言うまで飲んじゃダメだからね」
「ん、ん、」
夜霧はうんうんと頷きながら、他のことで頭がいっぱいだ。
ベッドに寝かせた夜霧の、勃ちあがった性器の根元に紐を縛った。血が止まらないように、若干の余裕を残してあるけれど今の夜霧にはきついだろう。
「いい子にはご褒美あげないとね」
目を爛々とさせている夜霧。僕は夜霧の性器にゆっくりと腰を下ろした。
夜霧に舐めさせたけれど、久々だし後ろの穴は狭くてきつい。引きずるように性器が内臓を擦って入ってくる。
「ふ、う、」
「んっんんっ」
「っく、あ、」
半分くらいまで入ったところで、夜霧が腰を突き上げた。手が滑った僕は支えを失い、一気に奥まで突かれ、脳みそを揺すられたみたいな衝撃に身体がビリビリと震えた。
「夜霧……っあ、」
「んっんっんっうっううっくっ」
「こんなのっ反則だっ」
夜霧は必死で腰を振って奥まで突き上げる。ゴリゴリの性器にナカを開かれ、僕は息も絶え絶えになる。
止めさせたけど、止めさせられない。泣きながら快感を得ようと必死の夜霧に、僕は心も身体も悶えていた。
「んふっうっんんっんっ」
ずくんずくんと一発一発に力を込めて、さっきよりも深く、今よりも強く突き上げてくる。
「あっ、あっ、夜霧、夜霧っ……」
縛られてイけない夜霧は僕のナカでビクビクと震えては、また律動を始める。僕は夜霧を気持ちよくさせるために締め付けては、夜霧の熱に震えた。
「んっ夜霧、イく、よ……」
「んふっんっふっうっうっう」
僕が言うと、必死にイかせようと腰を早く動かす。間も無く果てた僕のナカの痙攣に、夜霧の性器も震えた。
「いいよ、飲んで」
「んくっう、イかせって、イきたいよ白雨っ白雨」
口の中の精液を飲み干すと、夜霧が半ば叫ぶみたいに言う。
「ごめんごめん、今外すから……っ」
シュルッと性器の紐を外すと、殆ど体当たりの要領で夜霧に押し倒される。僕の上には獣が、荒い息をして僕を見つめていた。
「ごめ……しろ、」
夜霧は小さく呟くと腰を動かし始める。
ごめん白雨、もう止められない。
夜霧はその言葉の通り、僕の中で何度も何度も果てた。
ごめんと言いながら、身体を震わせて果てる様子が、愛おしくて仕方ない。
いいよ、夜霧。僕で感じてる夜霧が、僕は嬉しい。
「はあ、はあ、白雨、も、出ない……」
出し尽くした夜霧の上に跨って、僕は夜霧の口を塞いだ。
「まだ出るのがあるだろ?僕の中に、出してごらん」
「は……でも、でも……」
僕は夜霧の下腹を手のひらで押した。僕のナカにいる夜霧はもう萎えていて、精液も絞り尽くした。
あと出せるものと言ったら一つしかない。
「僕が全部受け止めるから」
「んっんひい……」
ぎゅっとお腹を押してあげると、夜霧は目を瞑って放尿を始めた。僕のナカが夜霧のおしっこで満たされていく。
精液とは違う熱に、僕はほくそ笑んだ。
「は……あ……」
長い放尿を終えた夜霧は目が泳いでぽわんとしている。僕はお尻に力を入れて、こぼさないように夜霧の性器を引き抜いた。
「夜霧、口開けて」
「……し、ろう……?」
夜霧の顔が引きつった。流石に自分のおしっこを飲むのには抵抗があるか。でも、そんなの僕は知ったこっちゃない。
「僕の身体から出たもの、全部、飲めるよね、夜霧?」
「は、あ、」
僕は夜霧の顔を跨いで座り、自分の指を穴に一本差し込んだ。
「ふ、う、あ、……んん、ふ、ほら、夜霧の、おしっこと精液が混ざってる」
「うう……」
ナカを掻き回して指を引き抜く。汚れた指を夜霧の唇に塗りつけると、嫌そうにしながらも舐めた。
夜霧は可愛い、バカな犬だ。
「夜霧?舌出して」
「はあ……はあ、はあ、白雨、」
不安そうに眉尻を下げる夜霧。そんな顔の夜霧に微笑むと殆ど泣きそうな顔をした。
「出来るだろ、夜霧は良い子だから」
頭を撫でると、観念したように舌を差し出す。僕のお尻に舌をねじ込む。
僕は夜霧の口を塞ぐようにしていきんだ。
「うっごへっおごっぐっうおえっぐっひぐっごっ」
「良い子だね、夜霧。褒めてあげる。なにかして欲しい?」
鼻から逆流させつつもなんとか飲み干した夜霧。今にも吐きそうな、泣きそうな顔の夜霧を抱き寄せる。
「ふえ……ちゅーして……」
「いいよ、夜霧」
ちゅっ、と唇を重ねると、少ししょっぱい気がした。それからちゅっちゅと何度もキスを繰り返す。舌を出すからそこに舌を絡めて、唾液が枯れそうになるまでキスをした。
「白雨」
「うん」
「腕の外して」
「ああ、忘れてた」
夜霧が腕を縛り上げる紐を僕の方に向けた。そういえばずっと縛ったままで、身体の下敷きにしたりして痛かっただろう。
夜霧の身体を労いながら、僕は紐に手をかける。
「……」
「白雨?早くして……白雨に抱きつきたい」
「うん、それならしてあげられる」
僕が夜霧を抱きしめると、夜霧は僕を見た。
「白雨……」
「……」
「外せないのこれぇ?!?!」
「……えへっ」
それから解けない結び目をなんとかしようと小一時間格闘した挙句、結局ハサミで切ることになった。
束縛プレイはしばらくやめておこうと思った……。
終わり
夜霧→大学生、盛りのついた犬
白雨→小説家、冷静に考えて変態