おまけ-柿狗くん視点-

 もうなにもいらないと思っていた。


 欲しいと思うから傷付くんだ。


 だからもう、なにもいらない。


 学校も辞めて、寝て暮らすだけの日々。


 なにも望まないから、死ぬ時が早く来いと思うだけの毎日。


 それなのにあいつはなんでもくれたから、俺はどんどん欲しくなって、失うのが怖くなった。


 あいつは薬指の指輪に誓ってくれたから、俺もあいつのことを信じる。


 いつかそのうち、またあいつの名前を呼びたいから、ちゃんと俺も、信じる。

終