3/22 木曜日 曇り

 目覚めは大分すっきりしていた。額の冷えピタは横で熟睡する兄貴が貼ったのだろう。なんで横で寝てるのかはわからない。
 携帯の着歴とメールの中から、真崎のだけを見る。

昨日10時
今日も休みか?連絡なくて先生怒ってるぜ。

昨日13時
無視すんなよな。俺怒っちゃうぜ?

昨日19時
怒ってねーよ、嘘だよ。なんか返事しろー。
それか電話出ろ?携帯壊れてんのか?

 真崎の一人芝居みたいなメールに俺はにやけてしまった。
 真崎はただの友達に、こんな優しいの?

 また寝ようと思ったら、メールが届いた。
「どうせ今日も休みだろ。明日は来んの?明日終業式だぜ。生きてるかだけでも返事しろよ」
「悪いずっと寝込んでた。明日も多分行けない」
 つまらない内容のメールに、もっと何か書けばよかったかな、と思ったがすぐ返事が来る。
「こんな時期にインフル? 長谷って今まで休みとかなかったのにな。
じゃあ明日通知表持って行くよ。見舞いも兼ねて」
 明日、真崎が家に来る。

 兄貴ってどんな人だったかな。
 昼過ぎに兄貴が起きて俺を抱き締める。人の体温が気持ち悪い。
「死んでるのかと思った」
 後ろから言われる。
 まだ死んでないよ。でもすぐ死ぬよ。
 額の冷えピタを貼り替えられる。
「飯作っておくから、起きれるようになったら食えよ」
 兄貴は部屋を出ていく。ありがとうは言わない。