目覚めは大分すっきりしていた。額の冷えピタは横で熟睡する兄貴が貼ったのだろう。なんで横で寝てるのかはわからない。
携帯の着歴とメールの中から、真崎のだけを見る。
昨日10時
今日も休みか?連絡なくて先生怒ってるぜ。
昨日13時
無視すんなよな。俺怒っちゃうぜ?
昨日19時
怒ってねーよ、嘘だよ。なんか返事しろー。
それか電話出ろ?携帯壊れてんのか?
真崎の一人芝居みたいなメールに俺はにやけてしまった。
真崎はただの友達に、こんな優しいの?
また寝ようと思ったら、メールが届いた。
「どうせ今日も休みだろ。明日は来んの?明日終業式だぜ。生きてるかだけでも返事しろよ」
「悪いずっと寝込んでた。明日も多分行けない」
つまらない内容のメールに、もっと何か書けばよかったかな、と思ったがすぐ返事が来る。
「こんな時期にインフル? 長谷って今まで休みとかなかったのにな。
じゃあ明日通知表持って行くよ。見舞いも兼ねて」
明日、真崎が家に来る。
兄貴ってどんな人だったかな。
昼過ぎに兄貴が起きて俺を抱き締める。人の体温が気持ち悪い。
「死んでるのかと思った」
後ろから言われる。
まだ死んでないよ。でもすぐ死ぬよ。
額の冷えピタを貼り替えられる。
「飯作っておくから、起きれるようになったら食えよ」
兄貴は部屋を出ていく。ありがとうは言わない。