3/23 金曜日 曇り

 朝兄貴の作った飯を食べる。腹は空いてなかったけれど、ただなんとなく勿体無く思っただけ。
 11時を過ぎる。
 もう学校は終わっただろうか。真崎が昨日、部活はないけど通知表を顧問に見せて、それから来ると言ってた。
 いつ来るのか、俺は少しどきどきしてた。うわ、乙女かよ、って。

 しばらくしてドアが開く。
 真崎かと思ったら、2年生だった。不良3人組。最近この人たちばっかだ。
 嫌い。フラッシュバック。嫌。どれも変わらないけど。
 抵抗出来なかった。体力が落ちて息するのも精一杯だった。声も出ない。
 真崎……。

 夕方、やっとで終わる。
「長谷ー、勝手に上がんぞ? おじゃましぁーす」
 入れ替わりに、真崎が、部屋の入口に立っていた。アレの酷い臭いか、そのままの今の現状か、眉間に皺を寄せている。
 見られた。汚い俺を。
 静寂の数秒間。
「なに、え、なにしてんの」
 なにしてんの。俺が聞きたいよ。
「……あ、さっきの……?」
 どうやら2年生にすれ違ったらしい。ドアを見て、俺に視線を戻す。
 見ないで。汚いから。見ないで。
 見ないで。
 嫌わないで。
 汚い俺を嫌わないで。
「……ごめ」

ぶつっ

 音を立てて世界が飛んだ。

暗闇