2015/5/3

 せっかくの休みだから出かけようと、巣是に手を引かれ街をふらつく。
 繋いだ手はむしろ掴まれているというのが正しく、引かれるというより連れ回されているようだった。
 最後に訪れた観覧車で二人きり、向かい合って座る。どんどん高さを増していくのが、曽達は恐ろしかった。
 巣是は外を見下ろしているが、曽達は膝を抱えて縮こまる。いわゆる、高所恐怖症の類い。
「外見ろよ、全部小せえ」
 くだらないと言わんばかりの表情を浮かべる巣是とは裏腹に、曽達は真っ青な顔をした。
「揺らしたら」
 巣是が立ち上がり、曽達を見下ろす。曽達がハッと息を呑む間に、巣是はニヤリと笑った。
「落ちるかな」
「やっめええっ」
 ガシャガシャと派手に揺れたのは、二人の乗り込む箱が頂点にきたところだ。
 曽達は床にうずくまり、ガタガタと揺られるままに身体を振り回される。しばらくしてようやく揺れが止まったのは、曽達が失禁してからだった。


終わり