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※おしっこを食べます

「せんせ」
 入くんの声で目覚める。僕は明け方過ぎに、いつの間にか眠っていたらしい。
 僕は腕の中に温もりを感じた。昨日は入くんの背中側から抱き枕のように抱きしめていたはずで、けれど今は向き合っている。
 入くんの拘束したままの手が僕の胸を撫でる。
「腹減った」
 猫みたいにあくびをしてまだ眠たげにしている。
 両手の拘束なんて無いに等しい。それでも逃げなかったわけを、聞いたら入くんは答えてくれるだろうか。それともいよいよその時は、ここから逃げ出してしまうだろうか。
「何食べたい?」
「え?んー、洋食……熱いのは、嫌だ」
 入くんは苦い顔をした。無理やり飲ませたコーンスープのことを思い出したのだろう。
「口の中、まだ痛い?」
 2日前の事とはいえ、口内の痛みは残るものだ。僕が聞くと入くんは舌を出した。
「痛い」
 チラチラと動かして誘う素振りをする。そんな僕をあざ笑って、入くんはにやりと笑った。
「せんせ、痛いの舐めて治してよ」
「……」
「はは、冗談」
 僕が動揺して、入くんはまた笑った。
 頭を過ぎったのは、学校で、保健室で、入くんが似たような事を言った時の事だ。
 その時の僕は大袈裟なくらいに戸惑って、そんな僕に入くんは今と同じように、冗談だと笑った。
「いいよ」
 僕は入くんの頬に手を当てる。
「舐めてあげるから、痛いところよく見せて」
 僕が言うと入くんは大きく口を開けた。
「奥まで全部、ちゃんと舐めて?」
 これじゃあどっちが支配してるのか、舐めているのか舐められているのかわからない。
 けれど僕は、生意気な入くんの口を塞いで舌を絡めた。

「は、ん、ん、ん、ん」
 上から押さえつけて、耳を手で塞ぎ、息もできないほどの深い口付けだった。入くんは背を仰け反らせ、身体を細く震わせる。正確には股間を突き上げるように数回動かした。
 耳を塞いでいるのが嫌なのか頭を振って、鼻から抜ける声を零す。
「んっっっんっっ」
 入くんが僕の胸ぐらを掴む。縋り付く。酸欠で苦しそうに、それでも快感になっていて、目端から流れる涙が指に付いた。
「んはっ、あっ、あ、はあ、はあ、」
 口を離すと入くんが荒い呼吸で喘いだ。僕も酸素が足りなくて、入くんの肩口に顔を付けて息を整えたから、耳元にかかる息がくすぐったかった。
「はあ、はあ、はあ、」
 まだ息の整わない入くんの頬に、僕は唇を軽く押し当てた。まるで新婚みたい。
 ああ、美味しい朝ごはんを作ってあげなきゃ。


「ああっやめろ、先生っむり、だ、先生、せんせ、っ、」
 IHのクッキングヒーターにしてよかったと、この時ほど思った事は無い。
 入くんをフライパンの前に膝立ちさせ、僕は後ろからそれを支える。
 入くんの下腹を押すと張っていて、入くんが押し出されるみたいに呻いた。
 昨日の夜からトイレに行ってないし、朝もペットボトルの半分くらい水を飲んだから、きっとキツイんだろう。
「入くん、我慢なんてしなくていいんだよ」
「ちが、そうじゃ、っうああ、ひ、痛いっんっひっ、ひっ、い」
 下腹を手のひらで優しく撫でてから、手首の付け根あたりで一気に押し込む。素直な入くんのペニスは呆気なく放尿を始めた。フライパンから勢いよく飛び出してしまったから、入くんのペニスを掴んで狙いを定める。
 入くんは顔を手で押さえて、なかなか終わらない放尿をフライパンで済ませた。さすがに多すぎるから半分は流しに捨てて、多めに割った卵と混ぜてスクランブルエッグにする。
「入くんは甘い方が好き?」
 調理台から降ろして、僕と調理台の間に立たせる。入くんは裸だから、フライパンから汁が飛ぶとビクンと跳ねた。
「入くんのおしっこ、どんな味かな」
 むき出しのうなじに噛み付くと、身体を硬くさせる。恐怖に支配された姿は生娘のそれみたいで、意地悪をしたくなる。
「ひいあっあ熱いっからああ」
 卵をかき混ぜる菜箸で入くんの乳首を突くと、大きく跳ねて叫んだ。熱いのにはめっぽう弱いみたいだ。
 今度直腸に温めたお酢を入れたら、お酢の効果と熱でよく鳴いてくれるかもしれない。
 立ったまま行儀が悪いけど、早めに一口食べさせてあげることにした。
「あっ……うっ……っお、っえ、」
 入くんの口に、出来立ての卵焼きを押し込むと熱さと抵抗で嗚咽を零す。
「残したらだめだよ?」
 口を手で塞ぐと、生理的な涙を零す。うまく飲み込めないみたいだから上を向かせて揺すると、噎せながらなんとか飲み込んだようだ。
「偉いね、入くん。おしっこ、美味しかった?」
 今にも吐き出しそうな入くん。
「ああ、そうだ、口の中火傷したよね?舐めて治してあげる」
 そう言って僕は入くんの口を上から塞いだ。
 しょっぱく感じたのは、泣き止まない入くんの、涙の味だろう。