唐突に始まる生放送。
いつもの前口上もなく、画面に映るのは椅子にガムテープで縛り付けられた柿狗くんだけ。口にはガムテープを貼られ、手は肘掛に、足はM字開脚で固定されている。
初めて生放送をした時のように、グレーのスウェットを着ている下半身までがカメラのフレームに入っていた。
目に付くのは、不自然に膨らんだ股間部分。耳を澄ませば微かに聞こえる、ウィーン、ウィーンという機械音。コメントを読み上げる棒読みも今日はなく、やけに静かに感じた。
柿狗くんは頭をもたげ、時折ピクリと跳ねる。
視聴者のコメントは得られる情報から読み取り、現状を探った。
鬼ピーはいないのか?それならば誰が放送を開始したのか?放送を開始した人間も静かに傍観しているだけではないのか?
一つ、ほぼ間違いないと思われるのは、不自然に膨らんだ股間の部分には、何らかの機械が取り付けられており、柿狗くんはそれに耐えている。
画面の前で誰もがごくりと生唾を飲んだに違いない。
事態を把握し落ち着けば、柿狗くんの姿は妖艶で、淫らに快楽に震える表情をしていることが理解出来るのだから。
びくっびくんと体を震わせ、時が止まったかのように柿狗くんの体も動かなくなる。
微かに肩が動いてから、柿狗くんは果てたのだと理解する。窺うように顔を上げた柿狗くんは、涙をこぼしていた。
加虐心を煽る表情と、仕草だと思う。社会に出れば喜んで弱者を虐げる人達が、こぞって柿狗くんを痛めつけるのだろう。
可哀想な柿狗くん。
社会に出なくても、こうして苦しい思いをしているのだから。
「んんんーふ、っふ、ん、んっ」
急に頭を振り、暴れ出す柿狗くん。股間に付けられた機械が、イったばかりの柿狗くんをも容赦無く刺激しているらしい。
必死に腰を揺らし、その刺激から逃れようとする姿は滑稽で、憐れで、なんとも淫らだった。
今度は仰け反り、鼻から抜けるような声を上げて果てる。それでも機械は止まらず、柿狗くんを刺激した。
柿狗くんのスウェットは股間の部分が濃い色に変わり、見た目にも一目瞭然だった。もがいても終わらない責め苦に、柿狗くんの身体は限界を迎える。
「ううっ、う、うううー、ううー」
それは動物の唸りにも似た声だった。今までとは明らかに違う柿狗くんの様子。
機敏に察知した視聴者も、今か今かと待っている。コメントは届かないが、柿狗くんを煽るように下劣な言葉を並べた。
「うううう」
柿狗くんの縋るような目は諦め、涙をこぼした。
ウィーンウィーンと言う機械音を遮り、じょろじょろと音がする。
「ん……んん……」
羞恥でいっぱいの柿狗くんは、それでも気持ち良さそうに声を上げながら、少し長い放尿を続けた。
機械の振動が放尿の解放感と混ざり、気持ち良いのだろう。放尿が止まっても機械が止まることはない。
今度は頭をいやいやと左右に振り、度重なる射精と放尿によって疲れ果てた身体は弛緩している。
放送時間はまだ5分ある。そのうちにあと一回くらいイけるんじゃないだろうか。
そう期待して見守っていたが、流石に限界のようだ。
残り一分を切ったので、僕はマイクのスイッチを入れた。
「こんばんは。柿狗くん曰く、僕がいたずらしなければお漏らししないとの事だったので、柿狗くんのおち○ちんのカリと根本にローターをつけて放置してみました。結果はご覧の通りです」
僕が話し始めると、コメントが賑わう。
やっぱりいたのか、ちょっとドキドキしたぞ、放置プレイもいいな、なんてのが目立った。
「次回は搾乳機を使用してみたいと思います。それでは、また」
放送を終えた柿狗くんの前に立つと、柿狗くんはぐすぐすとベソをかき、僕から目を逸らした。柿狗くんにもプライドがあったらしい。
僕は濡れた目尻にキスをしてやり、柿狗くんの口を覆うガムテープをゆっくり剥がしてあげる。
「僕もちょっと意地悪しちゃったね。ごめんね、柿狗くん」
僕がそう言ってあげると、柿狗くんはますます泣き出した。
とても可愛いけれど、泣き止んでほしくて言ったのに逆効果だったみたいで、ちょっとへこむなあ。
終わり