12搾乳機

「じゃじゃーん」
 口でつけた効果音、椅子に縛り付けた柿狗くんを背景に、画面に透明な筒状のケースを映し出す。
 何時ものごとく唐突な生放送。30分のショータイムが今宵も始まる。
「前回最後にお伝えした通り、搾乳機をご用意しましたー。うーん、うっかり搾尿って言っちゃいそう」
 僕が言うと、柿狗くんに限っては搾尿でおkというコメントに和んだ。
「今回用意したのは酪農なんかで使われているタイプの搾乳機です。ただ、このおっぱいに着ける部分は知り合いに頼んで特注サイズになっています。既製品でも長さは、まあ悪くはないんですが如何せん細身すぎますのでねー」
 柿狗くんのおちんち○を想像しながら握り締めると、うん、このサイズだ。と納得の手触りだった。
 この為にわざわざサイズを細かく測り、試作品を(内緒で)柿狗くんのおちんち○に装着したり、色々と大変だったわけで。
「みなさーん、柿狗くんのおちんち○は直接見せられませんが、柿狗くんのおちんち○の勃起サイズはこのくらいですよ」
 柿狗くんのファンに、たまにはファンサービスしなくちゃね。
 画面の向こうの視聴者も興奮しているみたい。
「さてさて、この搾乳機で柿狗くんのミルクを搾り取る前に、しっかりおしっこを出しておかなきゃですからねえ。久しぶりにカテーテル入れて今から導尿してあげますよー」
 次に取り出したのはビニールに入った新品のカテーテルと、新しく用意したローションだ。
「調べたら、キシロカインていうお薬の入った物だと、あんまり痛みなくできるみたいです。じゃあ柿狗くん、お薬ぬりぬりしようねー」
 小さい子に話しかけるみたく言うと、柿狗くんは眉をひそめた。
 けれど、僕のパンツを突っ込まれガムテープで蓋された柿狗くんのお口は、僕に反論することも許されない。
 小さくて愛おしい尿道の入り口に、ローションを指で塗り込む。少し冷たかったのか、きゅっと縮こまったおちんち○が可愛らしい。
「どうかな、お薬効いてるかな」
 僕のお医者さんごっこ風の聞き方が気に食わないのか、柿狗くんは顔を完全に横に向けてしまった。
 うーん、おふざけが過ぎたか。
 でも、好きな子とお医者さんごっこは誰もが一度はしてみたいプレイだよね。
「じゃあカテーテル入れるよ」
 カテーテルの先にもローションをつけて、丁寧に滑らせていく。
 久しぶりだけれど、いい感じかな。
「んっんん」
「ん、やっぱ入り口だけじゃダメかな?我慢してね」
 ある程度進むと、久しぶりの刺激に柿狗くんの体が跳ねる。
薬を塗り込んだと言っても入り口付近でしかない。
僕は手早く慎重に、傷付けないようにカテーテルを進める。
そろそろかな。
 それでも今日は排尿に搾乳機と二本立てだから、手を止めるわけにはいかない。
「んん、ん、んん」
 目を細めて、違和感と解放感から来る少しの快感がないまぜになったような顔で切ない声を上げている。
 じょろじょろと勝手に溢れ出す尿は、別に用意したペットボトルに溜めておくことに。
「あー、これはあとでトイレに流してあげまーす。プレイ中に飲むのはいいんですけど、後で飲むのはなんというか…

僕も愛が足りないですね」
 コメントに、それ後で飲むの?と聞かれたので正直に答えた。
 僕は柿狗くんのおしっこを飲むことも出来るけれど、ただの飲尿フェチというわけではない。
羞恥と快感と、その他色々を顔に浮かべる柿狗くんが好きなだけであって、飲尿はその顔を見る手段の一つでしかない。
 なんて真面目に語ったところで、普通の人から見たらどっちにしろアブノーマルなんだろうけれど。
「よし、そろそろいいかな」
 排尿が終わり、念のためちゅっと軽く吸い上げ、膀胱が空っぽになったことを確認する。
 ああ、柿狗くんの膀胱で作ったイチゴオレがまた飲みたいなあ。
でも今日は別のミルクを出してもらうからね。
 カテーテルを引き抜くと、柿狗くんは長く続く射精に似た感覚に、気持ちよさそうな顔をした。
「おしっこはペットボトル半分くらいですね、今日はお水もそんな飲ませてないし、トイレも自分でいったみたいなので、量も濃さも普通くらいですね」
 まだ温かい柿狗くんのおしっこを横に置き、次に取り掛かる。
「ではでは、今日のメイン、搾乳機です」
 僕はもう一度搾乳機を画面の前に映す。
 なんせ特注で、真新しいこの器具を使うのをどれほど心待ちにしたことか。
 僕のそんなウキウキが伝わったのか、コメントにも鬼ピー楽しそう、なんて書かれている。
「それじゃあつけるね、柿狗くん」
 緩く勃ち上がった柿狗くんのおちんち○を指で支え、透明なガラスを先端にあてがう。
少し隙間があるが、完勃起したサイズと吸入の圧力を考慮に入れているので問題ない。
 とは言え業務用の器具を使われる事に、顔色を青くさせる柿狗くん。
そりゃ、不安だよね。
「怖い?」
 僕が聞くと、おずおずと頭を頷かせる。
 僕は出来るだけ優しく微笑んであげる。
「おしっこはさっき全部出したから、怖くてもおしっこ漏らすことはないし。よかったね、柿狗くん」
 そうして、カチンとスイッチを入れた。
「んおおおおおっっぐうううううああああっっっっ」
 布でくぐもった柿狗くんの叫び声。
 腰をガクガク振りながら、おちんち○の先端からはびしゅびしゅと精液を零し、機械のタンクに吸い込まれている。
 あまりの反応に鳥肌がたった。
 体を仰け反り、与えられる刺激に頭を振っている。
 まさに搾り取られるような果ての見えない吸引に、柿狗くんは涙を流した。
 筋肉のついていない細い体が、おもちゃの人形のように激しく震え、獣のような咆哮を上げている。
それでも柿狗くんの感じているのは、紛れもない快楽だった。
 ずっとイき続けていて、びくんと身体を跳ねさせて意識を飛ばす。
そこを変わらず強烈な吸引が意識をも引きずり、また強制的にイかされる。
 気持ちよすぎる事が辛いなんて、柿狗くんは壊れてしまうかもしれない。
 それなのに僕の手は、スイッチを入れたまま動かせない。
 目を背けたくなるような、憐れな姿の柿狗くんを見つめていたい。
 カチン。
 やっと僕がスイッチを切ったのは、イきすぎて空イきを始めてしばらくしてからだった。
 吸引は終わったのに、柿狗くんはまだ腰をガクガク振っている。
目からはぼたぼたと涙を零し、鼻水も垂らしている。
「しばらくは、柿狗くんの精液を集めていきたいと思います。あ、それから前回の放送で、のべ視聴者数が1万人を突破しましたので、次回はその記念としてなにかするつもりです。それでは」
 僕は事務的に生放送を終わらせ、ぐしゃぐしゃになった柿狗くんの元へ。
 強すぎる快楽に身体を震わせる柿狗くんの頬にそっと手を当てる。
 このどうしようもなく惨めな生き物が愛おしくて、僕はガムテープの上からキスをした。
 柿狗くんの瞳から、また一つ雫が滴り落ちた。


終わり