14オナニー

「こんばんは、機材を全て新調したので、その準備に手間取りちょっと時間が空いてしまいましたね。今回はのべ視聴者数1万人を達成したので、その記念生放送です。とは言っても枠は普段通り30分なので、皆さんからの質問や簡単なリクエストにお応えしますよー」
 いつも通り始まった生放送。
 けれど、今日の柿狗くんは普通に服を着て、普通に椅子に座り、なんとなく居心地が悪そうにしている。
 手持ち無沙汰なのが落ち着かないようだ。
「はい、柿狗くんご挨拶して」
 僕が振ると、柿狗くんは目を見開き、椅子の上に器用に体育座りして、小さく丸まってしまった。
「あー、人見知りでシャイなんですよねえ。仕方ないか。それじゃあ何か聞きたいことあったらどうぞ。あんまりプライベートな話はお答えできませんよ」
 こぞって質問コメントが書き込まれ、機械音が忙しなく読み上げる。
 プライベートはなしと言ったにもかかわらず、そういった質問も少なくない。
 適当に僕が選んで、答えるしかない。
「えーとじゃあ……柿狗くんは本名ですか?お答えできません。少なくとも名前じゃないよー」
 無難な質問に無難な答えをして、ぽんぽんとやってしまおう。
「次、僕の名前お答えできません。適当に呼んでください。鬼ピーでもなんでも、どうぞ」
 鬼ピーでもいいの?と聞かれたので、ついでにそれにも答える。
 柿狗くんは興味なさそうに、横を向いたり顔を膝に埋めたりしていた。
 椅子から動かないでね、という約束を守っている。
「次、年齢はお答えできません。どっちも成人はしてます。次、住まいは日本です。次」
 プライベートな質問しかないのか。
 淡々と答えながら、次の答えられそうな質問を探す。
「柿狗くんと僕の関係……昔からの幼なじみって感じかな?小中学校同じでした」
 本当は高校も同じだけど、柿狗くんはドロップアウトしたので、卒業まで一緒なのは一応中学までだ。
 ちらりと柿狗くんを見ると、柿狗くんもこっちを見ていたので微笑んでみると、柿狗くんはさっと目を逸らしてしまった。
 うう、酷い。
「恋人じゃないの?……うーん、友人ですかね。柿狗くんは引きこもりなので、僕が唯一の友人です」
 一瞬言い淀んだ。
 恋人、そういうものを考えたこともなかった。
 どうしてだろう、近すぎるからか、それともこんな事しているからだろうか。
 柿狗くんは僕の事をどう思っているのだろう。
 怖くて、とても聞けやしない。
「次、好きなもの……僕は柿狗くんが好きです。柿狗くんは?」
 僕が聞くと、チラッと顔を上げて、ぼそぼそと呟く。
 今日は柿狗くんにもマイクを着けたから、小さな声でも平気だ。
「寝るの」
「だそうです」
 寝るというより、なにもしないでゴロゴロするのが好きなのかな。
 最近はちゃんと眠れてるのかな。
 生放送を始めた頃はあまりよく眠れていなかったみたい。
 さらには食欲も減っていたみたいで、結構心配していたんだよね。
 食欲の方は、一緒にご飯を食べるようにしてからはだいぶ食べられるようになったみたいだけれど。
「えっと……趣味。最近の僕の趣味は、生放送の企画構成を練ることです。柿狗くんは?」
 柿狗くんは僕の答えに嫌そうな顔をしてから、逡巡して口を開く。
「ない」
「そっか。ゲームは?前はよくしてたみたいだけど」
「してない」
「だそうです。暇があったら寝てる感じかな」
 そんな生活ずっと続けていたら、筋力が衰えて、そのうち立って歩くこともままならなくなってしまうんじゃないだろうか。
 少し不安になったけれど、それなら僕が何から何までお世話してあげようと思えた。
 今でも殆ど何もできない柿狗くんが、物理的に身動きを取れなくなった時の事を考えて興奮するなんて不謹慎だよね。
「そろそろリクエストにでも応えようか。なんかありますか」
 どわっとコメントが増える。
 追うだけでも大変だなあ。
「あ、これは?柿狗くんのオナニーショー、やってみようか」
「え」
 僕の言葉に視聴者は沸き、柿狗くんは呆然とする。
「えっと、ここにテープ貼って……よし、これで柿狗くんのおち○ちんは隠れたから、そのままやって平気だよ」
 カメラの一部に黒いビニールテープを貼り、簡易的にモザイクとして活用する。
 こんなこともあろうかと予め目安をつけておいたから、目隠しとしてはばっちりだ。
 丁度椅子に座る柿狗くんの、股間部分が黒塗りされて画面に映っている。
 うーん、なんだかこっちの方がエロく見える。
「よし、じゃあ柿狗くんやってみようか」
 柿狗くんは困惑した顔で僕を見つめた。
 普段は僕に無理やりやらされているわけだけれど、今は自分でやれって言ってるからね。
 喜んではい、とは言えないだろう。
「大丈夫だよ、おち○ちんが見えるのは、僕だけだから」
「そ……ゆんじゃない……」
 視聴者はやんややんやと盛り上がっているが、柿狗くんはイマイチ踏み出せないようだった。
「じゃあ僕が少しだけ、手伝ってあげるね」
 僕は横に用意して置いた、顔ばれ防止用のニット帽、マスク、伊達眼鏡をかけて柿狗くんの前に跪く。
 コメントによれば、黒テープのおかげで僕が首ちょんぱ状態になっていて不気味らしい。
 けれどそれはしょうがないことだ。
「柿狗くん普段からあんまりオナニーしないから、よくわかんないよね。じゃあ、パンツに手、入れようか」
 自ら動こうとしない柿狗くんの手を取り、スウェットのゴム口に導いてあげる。
 柿狗くんが手を引こうとするけど、僕が握りしめて止めさせる。柿狗くんとしっかり目を合わせると、柿狗くんはおずおずと手をパンツの中に入れた。
 右手だけをパンツに突っ込み、僕の指示を待つ柿狗くんには萌えざるを得ない。
「じゃあ指でおち○ちんなぞってみようか。僕もスウェットの上からなぞるね」
 布地がもにもに動いて、少し恥ずかしそうにしながらもしっかりと言うことを聞いてくれている柿狗くん。
 柿狗くんの指が撫でた反対側を僕も指でなぞった。
 コメントで、脱がないならテープ剥がして、と言われたので僕は一旦立ち上がり映らないよう気をつけながらカメラの方へ。
「柿狗くんはどこ触るのが好き?」
「ん……んん……」
 カメラにつけたテープを剥がしてから柿狗くんを見ると、目をつぶって気持ち良さそうな声をあげている。
 僕は柿狗くんの股間がよく映るよう少し横にずれて、柿狗くんの指を追った。
「ん、柿狗くんは亀頭をぐりぐりするのが好きなのかな」
 指が先端の方を執拗に触っていたので、僕は布の上から尿道をぐりぐりこすると、柿狗くんは身体を跳ねさせた。
 だいぶ敏感になったようだね。
「他は?竿を握って、上下に擦ってあげると気持ちいいよ」
 僕が言うと、柿狗くんはおち○ちんを握り、上下に擦り始めた。
 先っちょが出そうなので、手で隠してあげる。
「そうそう、上手じょうず」
 顔を寄せて手の中をそっと覗くと、先走りを零してもうイってしまうのも時間の問題だった。
「柿狗くん、気持ちいい?」
「んっ、んっ、あ、んん、ん」
 柿狗くんは頭をこくこく頷かせて答える。
 お猿さんみたいに手を忙しなく動かし、早くイこうと必死だ。
「柿狗くん、気持ちいいって口で言うと、もっと気持ちよくなるよ」
「んあ……ん……ん、きも……ちぃ……んん、ん」
「気持ちいいね、どこが気持ちいい?」
「ん、ん、お、……おち、○ち……」
「おち○ちん気持ちいい?」
「うん、ん、おち○ちん……ああ、……きもち……いい、あ、あ」
 快感で喘ぐ柿狗くんにエッチな言葉を言わせられて僕は満足だった。
 録音して着ボイスにしようかな。
 柿狗くんから電話やメールが来ることはまずないのだけれど。
「すごいよさそうだね。もうイきそう?」
「ん、ん、も、イく、う、うう、」
 本当に限界が近いのか、扱く手を早める。
 僕はそれを手伝うために、尿道に親指の腹を押し当てた。
「じゃあいっぱいイこうね」
 ぐりぐり押さえつけて、亀頭全体を撫でてあげる。
「あっああっっ……」
 切ない声を上げて、柿狗くんが果てる。
 吐き出した精液は、全部僕の手の中に。
 死ぬだけの柿狗くんの可愛い精子たちが、手の中で踊っている。
 想像するだけでぞくっとするような興奮がする。
「うんうん、上手に出来たね……と、そろそろ生放送も終わりの時間ですね。最後に質問があればどうぞ」
 果てて萎えた柿狗くんのおち○ちんをしっかりしまい、僕はパソコンの横へ移動する。
 賢者タイム中の柿狗くんはほあんとして、少し眠たげなくらいだ。
「じゃあこれ、生放送はいつまで続けますか……これはなんとも言えません。終わるまで続けます。まだしばらくは続きます」
 僕は手の中の精液を、ペットボトルの中に移す。
 ペットボトルには既に前回の生放送で、搾乳機を使って搾り取った柿狗くんの精液が入っていて、それに継ぎ足す形だ。
 早くいっぱいにならないかな、僕は貯金箱にお金を貯めるようにわくわくしている。
「それでは今回はこの辺で。また機会があれば、なにかしたいと思います。それでは」
 生放送も終わり、ようやく大好きなベッドにごろんとする柿狗くん。
 僕はそんな柿狗くんの夢うつつ状態を破らなければならない。
「それじゃあ柿狗くん、今日の分の精液、あと二回くらい溜めようね」
 安心してよ、僕が何度でも、イかせてあげるんだから。


終わり