36尿道バイブ

「えーと、のべ視聴者数6万を超えたようで大変ありがたいのですが、お知らせがあります」
 生放送開始から視聴者が集まる時間が早くなったなあ。おかげさまで、7万超えるのももうすぐみたい。
 そんな、柿狗くんの生放送を楽しみにしている人たちにはちょっと辛いお知らせをするのは、心が痛む。
「今回の生放送で、しばらくの間お休みしようと思います」
 ざわざわしていたコメントが、悲しみ一色に染まる。辞めないでー、というコメントもある。
 いや、だから辞めるんじゃなくてお休みするだけなんだけど。
 最近ではコメントが増えて棒読みもうるさいので、音声は切ってしまっていた。もし今棒読みがコメントを読み上げていたら大変うるさいことになっていただろう。
「えっと、辞めません!あと、今日はひたすら柿狗くんを気持ち良くするので、柿狗くんのおちんち○触りながら説明しますね」
 なんだか久しぶりにガムテープで椅子にぐるぐる巻きの柿狗くんの前に座り、黒い初代尿道バイブで亀頭を刺激する。M字開脚でお口は僕のパンツ+ガムテープ。
 柿狗くんは頭をうなだれ、びくびくと反応する。
 可愛いなあ、僕もしばらく柿狗くんのおちんち○に触れなくなるんだから、しっかり味わっておかないとね。
「お休みする理由は僕の都合もあるんですが、あとは、その、そろそろ柿狗くんと一つになりたいなあ、と思いまして」
 僕が言うと、柿狗くんは目を見開いて僕を見た。セックスしたい旨は話してなかったからね。
 アナル拡張する時だって、ほんとにするの?っていつも思ってたみたいだしね。
「せっかくの柿狗くんとの初めて、柿狗くんの記憶にしっかり刻みつけてあげたいんです。そのために初アナルセックスでトコロテンさせてあげたいなー、と考えました」
 トコロテン、と言う言葉に柿狗くんは頭にハテナを浮かべた。逆にコメントの方は盛り上がっているようだ。
「尿道バイブ入れるよー」
 くぷん、先端を上手に飲み込んで、そのまま奥まで入っていく尿道バイブ。
 もうすっかり慣れたね。
「よし、前立腺サンドしてあげようね」
 尿道バイブはゆっくり抜き差ししながら、もう片方の手で柿狗くんのお尻にローションを塗りたくる。
 今日は浣腸してないけど、トイレには行ってたみたいだし、大丈夫だろう。
「んん、ん」
 お尻触るなんて言ってなかったから、柿狗くんは頭をいやいやと振った。
 だいぶ慣れたとは言え、お尻の穴への刺激はまだ違和感の方が強いみたいだ。目尻に涙を溜めて可愛いなあ、いやいやしたって止める気なんかしないって言うか、むしろぐちゃぐちゃにしてあげたくなる。
 柿狗くんはいやいやしつつも息が上がっていて、尿道責めとお尻の穴への刺激で、気持ちいいのと違和感とがないまぜになっているようだ。
 入り口を丁寧にほぐし、中指をゆっくり突き入れる。同時に尿道バイブもゆっくり差し入れて、尿道とアナル両方犯される感じを楽しんでもらいたい。
「トコロテンと言うのは、お尻の穴への刺激だけでおちんち○は触らずにイく事です。つまり、前立腺への刺激だけですね。でもそれって結構難しいみたいで、AVでもだいたいおちんち○扱いてあげないとイけないみたいですね」
 説明してみるけど僕もにわかだからね。
 コメントには、なるほど把握した、というものや、逆に、俺は前立腺だけでイけるよー、という人のコメントもあった。
 まあ、当然ながら人によって違いはあるからね。
 とりあえず今の柿狗くんには、前立腺への刺激だけでイくことは無理なのだ。
「それで、しばらく柿狗くんにはオナ禁してもらって、溜まりに溜まったところを突いてあげればトコロテンできるんじゃないかな、という試みです。もちろん生放送でやりますよー」
「んっんんっん」
 中指を奥まで入れて、中をかき混ぜてあげる。胎内を他人に勝手にされるってどんな気分だろうね。
 柿狗くんはそれが気持ちいいのかそうでないのか、よくわからないみたい。
「バイブいれるよー」
 カチ、びびびびびび。
「んぐぐぐっう、うぐっ、うっ」
 奥深くまで突き刺した尿道バイブのスイッチを入れると、頭をガクンと仰け反らせて呻き声を上げる柿狗くん。
 これかなりキてるみたいだね。というか、イったのかな。
 お尻の中の指がきゅうーっと締め付けられている。
 精液は尿道バイブに塞がれて逆流しただろうから、気持ちよ過ぎて辛い状況だろうなあ。
「こんな可愛い柿狗くん、もっともっと見たいですし、やりたいこともまだまだあるので、生放送はまだ辞められそうにもないですね」
 尿道バイブのてっぺんを押さえたまま、竿をぎゅーっと握ってあげる。
 バイブの振動が手に響いて気持ちよかったけれど、柿狗くんは気持ちいいどころの話ではない様子。
 んひー、んひー、と声にならない高い声を上げて涙をぼたぼた零し、身体の動かせる部分をぐなぐね動かした。強すぎる刺激を逃がそうと必死みたい。
 あ、またイった。足の指がつってるみたいに伸びて硬直した。
 お尻の中に入れてる指にこりこりの前立腺が当たったから、ぐりぐり押してあげると、顔を真っ赤にして、おんおん泣いている。長い快楽は苦痛に等しい。しかも射精することも出来ないからね。
 ずっと気持ちいいのにそれが辛いなんて、可哀想。
「やだなあ、柿狗くんのこと気持ち良くしてあげてるのに、虐めてるみたい」
 いや、それもう虐めだよ、鬼ピーまじ鬼、そんなコメントに責められながら、それでも僕は手を止めない。
「しばらく気持ちよくさせてあげられないからね。苦しくても、気持ちよくなってね」
 なんて無理なお願いに、柿狗くんはついに限界を超えたらしい。
 全身を大きく2回震わせて、目の焦点が飛ぶ。おちんち○は萎えて、尿道バイブで無理やり勃たせられているようなものだ。
 お尻の穴も弛緩して、にゅるにゅるのうんちが隙間から零れ落ちる。
 多分尿道バイブを抜いたらおしっこ漏らしてくれるだろうなあ。
「お休み前最後の生放送でここまでイってくれるなんて思いませんでした。また生放送再開までしばらく快楽とはお別れですが、柿狗くんは今日のこの快感を忘れないことでしょう」
 まるで卒業式かなにかの答辞のようになってしまった。でも本当に、しばらくお別れだからなあ。
 毎日一緒にいたわけではないけれど、3日に一度は顔を合わせていた。少なくとも一週間、間を空けたことはない。
 しばらくの間、と言葉は濁したけれど、古佐治との事が片付かなければ再開がいつになるかもわからない。
 名残惜しく感じながら、柿狗くんの中から指を抜く。
「それではみなさん、しばらくの間お別れになります。またお会いする時まで、さようなら」
 拍手コメントに見送られて生放送が終了する。後片付けをして、柿狗くんをベッドに寝かせてあげる頃に、ようやく柿狗くんは目を覚ました。
 それでも相当な負担だったのか、うつらうつらとしている。
「柿狗くん、それじゃあしばらくの間、会いに来れないけど」
 ベッドの下に座り、柿狗くんと目線を合わせて声をかける。
「パソコンのメール画面起動したら、すぐに僕の携帯にメール出来るように設定したから。なにかあったらメールしてね」
 柿狗くんは僕の目を見るだけで、何も言わない。柿狗くんが僕にメールすることなんてあるのかな。
「あと、しないと思うけどオナニー禁止だよ。お尻の穴も尿道も、勝手にいじっちゃダメだからね」
 普段自分で触らないから、もしも柿狗くんが自分で弄ったら傷が付くることもあるからね。
 そう思って言うと、柿狗くんは口をへの字にした。そんなことするわけないだろ、って顔してる。
「あーあ、何だか寂しいなあ。柿狗くんも寂しい?」
って聞いても、答えてくれないか。
 僕は寂しいよ。
 眠たげな柿狗くんの唇に僕の唇を重ねて、また会えるおまじないをする。本当はいつだって会えるのに、会えないなんて変な話だよね。
「それじゃあ柿狗くん、またね」
 頭を撫でてあげると、柿狗くんは一回だけ瞬きをして、それから小さな声で、またねと呟いた。


終わり