三十八 目を覚ますと目の前に柿狗くんがいて、興奮しないわけがない。
ぴったりくっついた身体をさらにくっつけて、朝から元気になってしまった僕のおち○ちんを、柿狗くんの柔らかいお尻に布越しだけど押し付ける。朝から盛ってこれじゃあ発情期の猿とか犬だよ。
でも柿狗くんが欲しくてたまらないから我慢できないや。
「んん……」
僕が身体を強く引き寄せてしまったせいで、窮屈になった柿狗くんは小さく身じろいで呻いた。それでも起きる気はないのか、静かな寝息を立てている。ぐっすり眠るのは久しぶりなのかもしれないと思うと、ちょっと無理に起こすのは可哀想か。
僕は柿狗くんの後頭部に鼻を埋めて、柿狗くんの匂いを鼻腔いっぱいに吸い込んで堪能した。少し汗臭い、柿狗くんの匂い。僕の心は満たされて行く。
僕は柿狗くんの服の中に手を這わせた。もともと筋肉のついていない腹筋は痩せて、肋が少し浮いている。生放送を始めてからは一緒にいる時間が長かったからね。その生活に慣れてから距離を置いたら、それはそれでストレスになってしまったんだろうな。
柿狗くんはこの部屋で、ひとりぼっちで、何を考えていたんだろうね。それを考えると、申し訳ない気持ちと、どこか身体が熱くなるようなゾクゾクとする感じがあった。唯一の友人が、悲しんだり苦しんだりする柿狗くんを好きだなんて、柿狗くんは可哀想だ。
ちゅっ、ちゅっ、軽いキスを落としながら首筋をなぞり、背中に舌を這わせる。シャツを捲り上げて、剥き出しにされた背中に舌を這わせる。目立つ肩甲骨の窪みを上下に舐め、反対側も繰り返す。
背中の真ん中に顔を寄せて、どくんどくんという心臓の音に耳を澄ませる。人の心音を聞いていると、なんだか安心するのは何故だろう。きっと、生まれた時に母親の心音を聞いていたからだろうか。
そんなことを考えながら、下に下に移っていく。背骨を辿って腰のあたりへ。いつものスウェットから、パンツの布がはみ出していた。あ、僕のあげたパンツだな。
スウェットとパンツをズリ下げようとすると、前が引っかかってお尻だけ出た状態になる。なんでだろう?と思っていると、柿狗くんの手がズリ下げたスウェットをずり上げていた。
あれ、いつの間にか起きてたみたいだ。柿狗くんの手はしっかりとスウェットを握り、僕が下げようとするのを阻んでいた。
「起きたの、柿狗くん」
「……」
柿狗くんは何も答えない。僕の邪魔をしつつ、まだ惰眠を貪りたいようだ。まあ、今は柿狗くんの生おち○ちんやお尻に会えなくても、いいや。
柿狗くんを仰向けにさせて、僕は足元に正座してから柿狗くんの股間に顔を押し当てる。
「ふぎっ」
はあ、柿狗くんの股間やらかい。たまたまを押し上げるよう、下から上に顔を動かす。口を当てて、むぐむぐむぐっと顔を左右に振る。柿狗くんの匂いに包まれて幸せ。
「や、めろっ」
柿狗くんの手が僕の頭を掴んだので、僕はその手に手を重ねて繋いだ。鼻を押し当ててすーっと息を吸い、ぐりぐり顔を押し付ける。
柿狗くんは、んん、と鼻にかかる声を上げた。隠したかったみたいだけど、僕気付いてたんだよね。
「柿狗くんのおち○ちん大きくなってるね。朝勃ちかな」
顔を上げて柿狗くんを見ると、快感に潤んだ目で僕を見つめた。きっとオナニーはしてなかったんだろうな。それがいきなり刺激されれば、興奮もするよね。
「でもオナ禁中だからね、おち○ちん刺激するのもうやめようね」
僕が言うと、ホッとしたような、少し残念そうな顔をする。素直におち○ちん触って!なんて言えないだろうし、言われたとしても寸止め焦らしプレイが始まるだけだもの。寸止め焦らしプレイ、いいなあ。
ま、柿狗くんの処女アナル貫通の時には相当高めてからやるつもりだし、楽しみだなあ。
「じゃあ、えっと……キスしよっか」
僕は身体を起こし、柿狗くんの上に跨る。膝を柿狗くんの身体の横について、体重は乗せないように。
上から押さえつける形で顔を寄せると、横を向かれた。ちょっと傷付くなあ。まあ、いいや。頬に唇を付けたり離したりしていると、柿狗くんの手が僕の顔を覆った。
「なになに、柿狗くん。このお手手どけてよ?」
手首を掴んで、柿狗くんの頭の横に小さな万歳をさせてあげると、少しむくれた顔の柿狗くん。チラチラ僕を見て、唇を不機嫌そうにツンと尖らせた。
「やだ……」
「だめ?」
僕はおねだりするみたいに頭を傾げると、似合わない仕草に柿狗くんは顔をしかめた。そんな嫌がらなくても。
「だって……」
言いづらそう。言ってくれていいのに、怒ったりなんかしないのに。それでも柿狗くんは言葉を選んで、選んで、結局口には出せない。臆病な柿狗くん。
「……あ、そっか。じゃあ、僕の手、しっかり握ってて?」
僕は柿狗くんの手首を掴んでいた手を、柿狗くんの手と重ねる。俗に言う恋人繋ぎで指を絡めて握ると、柿狗くんの手が緩やかに握り返した。
前にキスした時に怖い思いさせたからね、その時も手を繋いでキスしてあげたから、今日もそうしよう。手を繋ぐと少し安心したのか、柿狗くんの身体から力が抜ける。結局柿狗くんの身体の自由は殆ど奪われているのに、手を繋ぐだけで安心できるならそれっていい事だよね。
僕は柿狗くんの唇にそっと唇を重ねた。柔らかい感触を味わいながら舌を差し込むと、臆病な柿狗くんの舌に触れる。
遊ぶように舌先を舌先でつつくと、他人の熱に驚いたみたいに舌を引っ込めた。それからおずおずと顔を出して、少しずつ僕の舌と触れ合う。
「ん……ふあ……」
息継ぎがうまく出来ないのか、苦しそうな柿狗くんの手が僕の手をぎゅっと握った。そんな仕草を愛おしく思いながら、唇を離す。
喘ぎ喘ぎ荒い呼吸をする柿狗くんの首筋に、僕はキスをする。首輪とかつけたら加虐心を煽るかもしれないなあ。
「んっ」
首輪は今はないから、キスマークをつけてあげる。柿狗くんの白い肌によく映える。
「はい、終わり。柿狗くん、起きてご飯食べよう?」
「ん……」
僕が起き上がり、握ったままの柿狗くんの手を引くと、なんだか不満そうながらも起き上がった。まだ寝ていたかったかな?ああ、違うや。
「おち○ちん勃ったままなの気になる?僕もだから、一緒に我慢しよう」
正面から抱きついて腰を寄せると、僕と柿狗くんの盛り上がった股間が擦れ合う。
「ね?」
「ん……」
勃起したままご飯食べたら、今度からご飯食べる時はエッチな気分になるようにできるかな。