「うーー……」
ベッドの上で唸っている柿狗くん、熱が出てて辛そう。
原因は僕だった。外に出ない柿狗くんが風邪を引くことはあんまりない。
この間僕の喉の調子がちょっとおかしいなあ、という時があったのだけど、風邪の引き始めだったらしい。
僕自身はたいしたことなく済んだのだけど、柿狗くんはこの通り風邪で辛い目にあっている。
「ごめんねー、柿狗くん辛いよねえ」
髪の毛はくしゃくしゃで、熱いのか寒いのかもわからず布団を穿いだり被ったり。
熱で頭は朦朧としてるのに眠れないからそのストレスも溜まっているみたい。
おでこに熱冷ましのシートを貼ったけど、かぶれてかゆくなるのかすぐ剥がしてしまった。今は濡らしたタオルを定期的に取り替えてあげている。
柿狗くんが風邪引いたの、僕が休みの時でよかった。社会人なんてやっているとそうそう急に休みを取ることなんて出来ない。付きっ切りというのは割と難しい話だ。
でも僕が風邪を移したという責任もあるし、こんな辛そうな柿狗くんを放ってはおけないもの。いざとなったら会社だって休むだろうね。
「んん……」
「大丈夫?」
身体を起こそうとする柿狗くんを支えてあげる。どうしたのかな?
柿狗くんは僕にしがみつくように、肩に腕を回してきたけど、力が入らないのか脱力してしまった。
「おトイレかな。今連れていってあげるからね」
そのまま抱っこしてあげて、おトイレに連れて行く。
「ああっんん、あー、あーっ……ひくっ……ううう」
「はいはい、大丈夫だよー」
結構限界だったみたいで、廊下でおしっこを漏らしてしまった柿狗くん。
体調不良のときは仕方ないと思うけど、柿狗くんはそれでも気にするからね。
「ごめんね、僕がゆっくりしてたから間に合わなかったね。僕のせいだからね、ごめんね」
肩口でぐずる柿狗くんをなだめながら、おトイレに。多分お腹も下してるだろうしね。
「はーい、どうぞ。今着替え持ってくるから、ゆっくりでいいからね」
便座に座らせて、スウェットとパンツを脱がせてあげる。ゆっくりとは言ったけれどあんまり長い時間お腹出してると冷えちゃうからね。
とりあえずお漏らしと着替えだけ片付けてすぐにおトイレに戻った。
「んん……ふえ……うう……」
ああ、また泣いちゃってるなあ。
うんちうまく出ないのかな?
「どーした柿狗くん?おなか痛い痛いかなあ。僕が撫で撫でしてあげよっか」
僕は柿狗くんの前にしゃがんで、柿狗くんのお腹を撫でてあげる。
僕の手の上に柿狗くんの手が重なって、すごく愛しい。柿狗くん体温高いなあ、手が熱いよ。
「あとでゼリー食べようか。冷たいから美味しいよ」
柿狗くんはうんうん頷きながら、お腹の中をスッキリさせようと必死だ。
少しして、なんとか水っぽいうんちをした後また抱き上げてベッドに戻る。
少し眠くなってきたのか、僕の胸に頭をぐりぐり押し付けてきた。
可愛い。
「はーい、寝んねしよーねえ」
ベッドに降ろしてあげると、柿狗くんは僕にしがみついたままだ。ベッドに一人は寂しいもんね?
「僕も一緒に寝んねしよっかな。ね、柿狗くん」
柿狗くんを少し奥にずらして、僕もベッドに乗り、一緒に横になる。
くっついて離れない柿狗くんを離すつもりは毛頭ない。
「ゆっくり眠って、起きたらきっとよくなってるからね」
頭を撫でてあげると、柿狗くんはもう眠っていたみたい。
じゃあ僕も一眠りしようかなあ。
少し熱いくらいの柿狗くんを抱きしめて、僕も眠りについた。
目が覚める頃には柿狗くんの熱も下がったらしい。
ゼリーを食べるか聞くと、うんと頷くので桃のゼリーを持ってきてあげる。自分で食べるつもりがないのか、僕があーんするのを待っているので、喜んであーんしてあげる。
すぐよくなって、本当よかったなあ。