71ベッド

 お布団でぐっすり眠る柿狗くんの隣に僕も横になる。最近は柿狗くんの家に泊まってばかりだなあ。
 だって、狭くてほとんど柿狗くんだけしかない空間は、どうしようもないくらい居心地がいいんだもの。この居心地のいい空間で柿狗くんを目一杯満喫するんだ。
 柿狗くん色白いなあ、当たり前か、お外出てないんだもの。シャツから覗くうなじが色っぽい。
 触ったら起きちゃうかな、でもむらむらしちゃった、触らないなんてできない。
 堪えきれずうなじに鼻を押し付ける。まずは柿狗くんの匂いを存分に吸い込むことから始めよう。
 それから舌を出して首筋を舐める。寝てる間に汗をかいたのか、少ししょっぱい。
 そのまま首筋に吸い付く。僕の痕をつけてあげたい。毎日毎日、一生消えなくなるまで、僕の痕を。
「んん……」
 べちっ。
「いたっ」
 寝ぼけているのかうっとおしいのか、柿狗くんに頭をはたかれてしまった。わかったよ、おとなしくしてます。
 それでももう少し近付きたくて、ずりずりと身体を寄せる。唐突に目に入ったのは、左手に輝くシルバーの指輪。その手に僕の手を重ねると、それだけで幸福な気持ちになれる。
 左手薬指の血管は心臓まで繋がっているらしい。だから、ハートに一番近いところに愛のあかしをはめるのだ。
 布団に投げ出された柿狗くんの手の上に、同じく左手薬指に指輪をはめた僕の手。
 こんなに近くにいるんだもの、柿狗くんと同じ夢、見れるかな。