72軟膏

 ベッドの上でうつ伏せになったり横向きになったり、落ち着きのない柿狗くん。
「どうかしたの、柿狗くん」
「……どうもしない」
 少し言い淀んだって事は、どうかしたけど言いたくないのかな。なんだろう、うつ伏せになってるってことはお尻がなにか気になるのかな。
「お尻痛いの?」
「……」
 答えないね。そうかあ、お尻痛いのかあ。
「ほら、見てあげるからお尻出して」
「いい、痛くない」
 嫌がった柿狗くんは布団を頭から被り、こもってしまった。
 学習能力ないね、柿狗くんは。お尻側から布団をめくれば、簡単に剥いでしまえる。
「っ、やだっ」
「痛いのいやでしょ?ちょっと見るだけだから、動かないの」
 足の上に乗って暴れないようにしながら、柿狗くんのスウェットをズリ下げる。
 柿狗くんの手がスウェットを戻そうと邪魔する。おっと、手近なところにガムテープ発見。
 縛っちゃおうね。
「やめろ、はずせっ」
 後ろ手にガムテープで縛り付けられ、身体をバタバタさせて魚みたい。
 柿狗くんて可愛いんだから、ほんと。
「ほらー、いい子にすればすぐ終わるよ?それとも足もガムテープで縛っちゃおうか?」
「……うううう」
 ぎりぎり歯ぎしりして唸り声をあげる柿狗くん。見られるのは嫌だけれど、縛られるのも嫌みたいだね。
 でも静かにしてるし、このまま見ちゃおう。
 パンツもおろして剥き出しになったお尻を揉みなからお尻のお肉を割り開く。緊張しているのか、きゅっとすぼまって可愛いお尻の穴。
 ああ、でもいつもよりちょっと赤いかな。このあいだお腹下してから、ずーっと下痢が続いてるみたいだからね。お尻の穴に負担かかってるんだろうな。
「ちょっと触るよ」
「んんっ」
 つん、と淵に触れると柿狗くんが声をあげた。ちょっと腫れてて少しの刺激でもしみるのかな。
 腸液が染み出ているし、いつからこんなになっていたのかな。
「ごめんね、痛かったね。今お薬塗ってあげるね」
「いらない……」
「でも痛いんでしょ?このままじゃ痛くて眠れないかもよ」
「……」
 枕に顔ぎゅーっと押し付けて、お尻丸出しで、哀れで可愛い柿狗くんにむらむらしちゃいそう。
 でも今はぐっと堪えて、お薬塗ってあげなきゃね。
「ねー、すぐ終わるから、お薬塗るよー」
 指に軟膏を付けて、お尻にそっと塗り付ける。しみる成分は入っていないから、ぬるぬるしているだけのようなものだ。
「痛くなーい?」
「ん……」
 身体から力も抜けたみたいだし、少しはよくなったかな。
「中の方も塗るからねー」
「ん……ん、」
 指一本くらいなら平気で飲み込めるみたい。浅いところに指を擦り付けながら、少し深いところまで丁寧に軟膏を塗り込む。
「……んん、う……」
 お、なんだか気持ち良さそう。このまま寝ちゃいそうだなあ、柿狗くん。
「眠かったら寝ていいからね」
「ん……」
 言いつつ既に眠いみたいだね。
 お尻を軽く揉みしだきながら、指を引き抜く。パンツもスウェットも元の位置に戻してあげて、手の拘束を解く。
 苦しい体勢だったろうに、もうすやすや寝息を立てているんだから、よっぽどお尻の穴が気になってたんだろうな。
 とはいえ、一日じゃ治らないからね。明日もお薬塗ってあげよう。
 僕が柿狗くんの頭を撫でると、くすぐったそうにした。