知り合いから紅くて大きいイチゴを貰ったので、柿狗くんと一緒に食べることにした。
柿狗くん甘いの大好きだもんね。
「はい、あーん」
自分で食べられるという柿狗くんを無視して、ヘタのところを摘まんで柿狗くんのお口に差し出す。
紅いつややかな実に耐えきれず、素直に口を開けてあーんする柿狗くん。
僕はその可愛さににやにやしながら、柿狗くんのお口にイチゴを入れた。
「ん、んく……ん……」
「ふふ、汁がこぼれてる」
少し大きすぎたのか、口の端から紅い汁がこぼれたので、僕はそれを舐めとりそのまま口付けをした。
「ん、っ……ふ、んん」
口いっぱいに広がる爽やかな甘みと微かな酸味がちょうどいい。ヘタに近いところまで紅い、美味しいイチゴだった。
「ほら、練乳かけてもっと甘くしよう」
チューブの練乳をイチゴにかけると、白と赤のコントラストがとても綺麗だった。
美味しそうな実に、柿狗くんの目も輝く。
「はい、あーん」
「あー」
今度は素直にお口を開けて、目をつぶりイチゴを待つ柿狗くん。
イチゴに負けず劣らず、真っ赤な舌が期待してはあはあしてる。その舌にイチゴを乗せると、吸い付くようにイチゴを咥えた。
「ん、ん」
はむはむとむしゃぶりつく柿狗くんを見ているだけで、僕も甘い気分になれる。口いっぱいにイチゴを含み、幸せそうな顔の柿狗くん。
……馬鹿馬鹿しいけど、そんな顔柿狗くんにさせちゃうなんて、イチゴにちょっと嫉妬しちゃうな。
そんな事を思いながら柿狗くんをじっと見つめていると、その視線に気付いた柿狗くんが僕を見つめ返した。
口の中のイチゴをモグモグしながら、何か考えてる。
「……ん」
「……あーん」
少しぶっきらぼうにイチゴを差し出した柿狗くん。
僕は目頭が熱くなるのを感じながら口をあーんと開いた。だって柿狗くん自らあーんしてくれたんだよ、これが感動せずにいられるわけないよね。
近付けられるだけで匂いが、先端を口に含むだけで水々しい甘みが口の中に広がる。
ああ、これは確かに、あんな幸せそうな顔にもなるよ。
「ありがとう、柿狗くん。あーん」
「あー……」
次のイチゴを待ち遠しくしている柿狗くんに、イチゴを差し出す。
人に何かを食べさせてあげるのって、ちょっといいよね。僕の手からあげたものを一生懸命モグモグしてる姿は動物的で、愛おしさ倍増だよ。
ああ、また汁こぼしてる。
僕はまた柿狗くんの唇を奪う。
普通に食べるより、柿狗くんのお口を味わった方が数倍美味しい。
「ん、んんっらめ、俺のいちご、取らないでっ」
柿狗くんは僕から必死に逃れ、お口に手を当てて訴えた。なにそれ、可愛い。
そんなにイチゴ気に入っちゃったのかな?
柿狗くんに気に入られたイチゴに、嫉妬しちゃうよ?
「イチゴ、そんなに美味しかった?」
「ん」
僕の言葉に適当に頷き、目線は最後の一個から離れない。
柿狗くんてば、ほんと、可愛い馬鹿なんだから。
「ほら、僕が最後の一個食べちゃおう」
「あっ」
僕は最後の一個を口に含み、柿狗くんを見ると、本当に恨めしそうに僕を見た。
数的には柿狗くんがいっぱい食べてる筈なんだけどね。
「どーふる?柿狗くん」
唇で咥えて、柿狗くんを煽る。最後の紅いイチゴに、柿狗くんはゴクリと喉を鳴らした。
「んっ」
意を決した柿狗くんは僕の頬に手を当てて、僕の頭が逃げないよう固定し、イチゴを奪おうと唇を重ねた。
貪るように乱暴だから、汁が飛び散る。うーん、野獣的。
柿狗くんのそんな新たな一面にゾクゾクしながら、僕は柿狗くんの後頭部を抑えた。
イチゴを貪る柿狗くんの唇を貪る。
結局最後は、イチゴ味の柿狗くんの口内を満足いくまで堪能させてもらった。
「ふはっ……あ、あ……んっん……」
唇を離すととろとろになった柿狗くんの甘い喘ぎが響く。
深いキスだったからね、おち○ちんも元気になったみたいかな?
「柿狗くん、美味しかったね」
柿狗くんの口端にこぼれた汁を指で拭ってあげると、柿狗くんは身体をびくんと震わせる。
身体中敏感になってるみたいだね。
「もう一パック、冷蔵庫にあるけどまだ食べる?」
僕が聞くと柿狗くんは目を見開いた。
快感に潤んだ瞳が揺れる。
「も、いいっ」
柿狗くんは逃げるようにベッドに潜り込んだ。
それじゃあ残りはまた明日、余さず堪能しようかな。