今日は3年生の卒業式だった。奴らとはもうおさらばだ。でも、奴らとはあと1年。
3年生の中に数人、2年生の中に数人、それとタメに何人か。指折り数えてうんざりする。
俺はいつ、解放して貰えるのかな。
あ、そうだ。今月一杯で死ねるじゃん。それで解放されるじゃん。
そう思うだけで俺は、いつもよりずっと楽になれた。
1年生は卒業式に出なくてもいいことになっている。でも2年生は確か全員参加の筈だった。だからお前らは、卒業式に行けよ。俺の家に勝手に入る、暇じゃない筈のひま人2年生。
昨日来たのは3年生だった。
「高校生活最後の思い出作らせてよ」
笑いながら言うソイツらは、乱暴で。いつも通り。
「お前、学習能力ないな」
敵うわけがない。でも俺は最後まで必死で抵抗した。抵抗すればするだけ、奴らは喜んだ。いつか、力を力でねじふせるのが楽しいと言われた。なけなしのプライドが、捨てられなかった。
わかってる。知ってる。だけど、だけど嫌なんだ。
男に抱かれるのは、嫌なんだよ!
「今日は抵抗しないんだな」
「いいから、早くしちまおーぜ、コウキ」
意外そうに、2年生の一人が言っていた。
うん。だって、俺今月いっぱいで死ねるんだ。
そう思うだけでね、俺は楽になれるんだよ。極端な話、幸せ。解放されるんだ。
もう終わるんだよ。
痛いのも苦しいのも泣きたい気持ちも死にたい気持ちも、もう終わるんだよ。