3/5 月曜日 晴れ

 昨日雨を浴びたわけで、案の定風邪を引いて38度の熱が出た。休むか行くか迷って、吐いたけど、行くことにした。
 実は皆勤賞を狙っている俺は、無遅刻無欠席無早退だけが取り柄だった。
 俺って馬鹿なんだね、だけど馬鹿も風邪を引くんだ。それとも馬鹿じゃなかったってこと?
 どうでもいいや。

 試験を終える前に意識が飛ぶ。次に目が覚めると保健室にいた。養護教諭に叱られる。
「風邪を引いてるのに馬鹿か。具合が悪いなら来るな。自分の体を大切にしなさい」
 そう言って、頭を撫でられる。
 この先生は、俺の何を知っているんだろう。

「悩みがあるなら話を聞くよ。先生に何でも話して。一緒に解決しよう」
 その言葉も笑顔も嘘くさいと思った。
 人に話せる悩みなんて、生憎持ち合わせてないよ。誰かに解決してもらえる悩みなら、楽なのにね。
「もう解決したから、大丈夫だよ」
 そうなんだ?
 探るような目で見る先生が気持ち悪い。
 そうだよ。解決したんだよ。
「先生は俺を抱きたいと思う?」
 なかなか離れない先生に聞く。一瞬固まって、目を見開いた先生が馬鹿だと思う。
 いや、とか、それは、とか、冷静なつもりできょどってるんだよ先生、あんたは。
「俺はね、楽しくないよ」
 俺は、熱にうかされたふらふらの足で家に帰る。

 俺が死ねば、全部終わる。