昨日雨を浴びたわけで、案の定風邪を引いて38度の熱が出た。休むか行くか迷って、吐いたけど、行くことにした。
実は皆勤賞を狙っている俺は、無遅刻無欠席無早退だけが取り柄だった。
俺って馬鹿なんだね、だけど馬鹿も風邪を引くんだ。それとも馬鹿じゃなかったってこと?
どうでもいいや。
試験を終える前に意識が飛ぶ。次に目が覚めると保健室にいた。養護教諭に叱られる。
「風邪を引いてるのに馬鹿か。具合が悪いなら来るな。自分の体を大切にしなさい」
そう言って、頭を撫でられる。
この先生は、俺の何を知っているんだろう。
「悩みがあるなら話を聞くよ。先生に何でも話して。一緒に解決しよう」
その言葉も笑顔も嘘くさいと思った。
人に話せる悩みなんて、生憎持ち合わせてないよ。誰かに解決してもらえる悩みなら、楽なのにね。
「もう解決したから、大丈夫だよ」
そうなんだ?
探るような目で見る先生が気持ち悪い。
そうだよ。解決したんだよ。
「先生は俺を抱きたいと思う?」
なかなか離れない先生に聞く。一瞬固まって、目を見開いた先生が馬鹿だと思う。
いや、とか、それは、とか、冷静なつもりできょどってるんだよ先生、あんたは。
「俺はね、楽しくないよ」
俺は、熱にうかされたふらふらの足で家に帰る。
俺が死ねば、全部終わる。