9時過ぎに目が覚める。
ここまで熟睡出来たのは久しぶりだった。それと同時に、猛烈な空腹に気付く。
ぼんやりと天井を見上げながら、そう言えば昨日の朝から何も食べてない事に気付く。ずっと昼しか食べない生活が続いていた。
朝は食欲がなく、夜は誰かしらがいて、大抵食いっぱぐれる。学校がなければ昼さえ食べない時もある。
そもそも、昼だって途方がなく腹が空かない限り食べる気はない。
あいつらが俺の痩せた体を見て、何を思ったのか食べ物を寄越すようになった。それを食べないと殴られる。
「餌付け好きだなコウキは」
「うるせー」
疲れて気持ち悪いぐらいなのに、一昨日の夜も無理矢理食わされた。
気持ち悪いから?萎えるから?死なれたら困るから?
そんな心遣い、いらねぇよ。そもそもの原因はお前らだっていうのに、恩着せがましい。
昼も過ぎて1時頃。ファストフード店でチーズバーガーとサラダを、2時間ぐらいかけて食べた。
端で食べていたから、誰もその事に気付かない。わいわいと騒がしい女子高生も、部活帰りの男子高生も、店員も、誰も。
俺の病気は止まらない。自覚も出来ない程、微かに微かに、俺の命を削っていく。