夢喰いバクは夢を喰う。愛した人の夢を喰う。
あるところに、愛し合う二人がいました。
二人はバクと人間でした。
二人の間に、子供ができました。
しかし、母親は子供を生んだときに死んでしまいました。
父親は愛した人を失ったショックで死んでしまいました。
残された子供は、バクと人間のハーフだったので、どちらの世界にも馴染むことができませんでした。
子供は、夢と現の狭間で、一人寂しく泣きました。
ひらひらと手の中に落ちてきたのは、たったそれだけが書かれた、奇妙なチラシだった。
「……夢喰い屋? ……バ、バク?」
君が泣いているから、
ボクは君に会いに来たんだ。
君の代わりにボクが笑うから、
君もいつか笑ってほしいな。
あのバスで見た景色の中にいる今でも時折思う。
彼らの目指した果ての世界とはどんな景色だったのかと。