バク

夢喰いバクは夢を喰う。愛した人の夢を喰う。

1/2バク

 あるところに、愛し合う二人がいました。
 二人はバクと人間でした。
 二人の間に、子供ができました。
 しかし、母親は子供を生んだときに死んでしまいました。
 父親は愛した人を失ったショックで死んでしまいました。
 残された子供は、バクと人間のハーフだったので、どちらの世界にも馴染むことができませんでした。
 子供は、夢と現の狭間で、一人寂しく泣きました。

夢喰いバク

 ひらひらと手の中に落ちてきたのは、たったそれだけが書かれた、奇妙なチラシだった。
「……夢喰い屋? ……バ、バク?」

ヒト

 君が泣いているから、
 ボクは君に会いに来たんだ。
 君の代わりにボクが笑うから、
 君もいつか笑ってほしいな。

ユメ

 あのバスで見た景色の中にいる今でも時折思う。
 彼らの目指した果ての世界とはどんな景色だったのかと。